みつめあってハグをする


◻︎ポリネシアンxxxxをする5スレ

きっかけといえばなんてことない。その日の夜はおいしい夕食を腹いっぱい食べ、風呂上がりのいい気分だった。寝室に入れば、ベッドでやけに真剣に端末の画面を見つめているスレッタが目に入る。近づいても全く気がつかないときたので、つい悪戯心がわいたのだ。
「…なーに見てるの?」
「!?」
わざとらしく耳元で囁く。驚いたのだろう。声もなく、大袈裟に飛び上がった肩を抱き、手ごと端末を掴んでよく見えるように引き寄せた。
「あ、お、あっ、ひゃわ、」
「うん?……ポリネシアン、」
「ひ、ひぃーーーーっ!」
「へぇ…」
「や、よ、読まないでくださいっ」
取り上げようと伸びてきた片手を避けつつ捕まえる。指を絡めて動きを封じればもう邪魔するものはない。スクロールして流れる文章を読むに、どうやらそういう事について調べていたらしい。スレッタは端末を取り返そうとしばらく必死だったが、諦めたのかやがて顔を羞恥に染めて項垂れた。
「したいの?」
肩を抱いた腕を腹に回して、赤くなった顔を覗き込む。ちらりと視線をよこして、スレッタは小さく頷いた。
「…その、いつものも気持ちいいんです、けど。もっとキスとか、ハグとか、触れながらゆっくりしてみたいなあって。そしたら、こういうのがあるって、知って…」
いつもの行為を思い出す。大抵はエランがスレッタに構いだして、じゃれあいの延長で始まるのだが、途中から性急になり最終的にはどちらともなく理性を投げ捨てがちだ。乱れたスレッタはかわいいし、どちらかといえば激しく求められる程燃える性質なので今まで視野に入らなかったが、確かにゆっくり可愛がるのも悪くはない。
「いいよ、しようか」
画面を暗くして、サイドボードに端末を置く。お互いの顔が見えるくらいに部屋の照明を絞れば、腕の中のスレッタがそわそわとみじろいだ。
「い、今からですか?」
「だめ?」
「…ぱんつ、今日はかわいくないやつなんです」
もじもじしていると思えばそんなことを心配していたので、つい笑ってしまう。
「最初に全部脱ぐし問題ないさ。ほら、ばんざい」
先程の記事によれば、ポリネシアンセックスの一日目は全裸でお互いを暫く見つめ、ハグするだけに留めなくてはならないらしい。てきぱきと服を脱がし、恥ずかしがる間も無く裸に剥いてやる。手を動かしながらばっちり見た下着は黒無地のシンプルなものだった。エランは黒も中々嫌いじゃない。
「僕のも脱がして」
「は、はい…」
スレッタがもたもたとした手つきで服を脱がしにかかる。上着を抜こうと動くたびたぷたぷと胸が揺れるのが目にちらついた。天辺にある飾りを摘んだり転がしたりすればいい反応が見れてそれは楽しいのだが、今日は触れられないのが残念だ。
今度は下衣を脱がそうと、スレッタがこちらに尻を向ける。動くたびに尻がふりふりと揺れ、隙間からちらちらと割れ目が見えた。本人はといえば見られているのに全く気づいておらず、服を脚から抜こうと一生懸命である。下着はいちいち気にして恥ずかしがるのに、尻を丸出しにするのは平気なのだろうか。エランは心なしか据わった目でもぞもぞと動く尻を眺め、スレッタが脱がし終えるのをじっと待った。
「ふぅ、脱げました!」
「ありがとう。じゃあ、こっちおいで」
ぽんぽんと横を叩いて示すと、スレッタは恥ずかしそうに手で(さっきまで丸出しにしていた)身体を隠しながら寝そべった。
「こっち向いて、見せて?」
「は、い…」
おずおずと、手がどけられる。視線で肩から爪先までをじっくりとなぞれば、肩から二の腕にかけてのなだらかな線や、外気に触れて主張する乳首、ぴったり閉じた割れ目に、柔らかくも綺麗に引き締まった腹部が目を引いた。エランもまた熱っぽい視線を肌に感じて視線を上に戻せば、スレッタと目が合う。
「…恥ずかしい?」
「き、聞かないでください…」
「綺麗だよ、君の身体」
スレッタの柔らかい反面しなやかで引き締まっている身体は、いつ見ても健康美と表すのに相応しい自然な美しさを感じる。尻か胸か。どちらかといえば胸であると自負するエランだが、スレッタに関しては尻の方が好みでさえあった。
「…私も、あなたの…」
スレッタの視線がエランの身体をなぞり、中心で止まる。
「あ…」
「まあ、好きな女の子の裸みたらこうなるよね」
見なくても気づいていたが、スレッタの裸体を見たそこはしっかり反応していた。
「えっと、やっぱり普通に、しますか?」
ちらりと、エランを窺う視線は熱っぽい。そこには少しの不自然さがあった。あくまでもエランを気遣う姿勢をとってはいるものの、スレッタの方が熱を欲しくなってしまったのだろう。
「僕はどっちでもいいけど、したいの?」
探るような言葉を返せば、スレッタは視線を泳がせた。趣旨に反するとはいえ楽しい方が良いに決まっているので、途中で方向転換するのはエランも吝かではないのだ。
しかし、エランの方から求めるのはおもしろくない。そもそもはスレッタの希望で始めたのだから、彼女が止めたいと言わない限り希望に沿ってあげるのが優しいパートナーというものではないのだろうか。
要するにエランは負けず嫌いであった。
「わ、私は…このままで、大丈夫です」
自分を見る目がやや意地悪な色をしている事に気づいたのか。はっとしたスレッタは眉をきりりとさせる。彼女もエランと同じくらいには負けず嫌いなのだった。
「そう?」
「はい………でも、そろそろハグ、したいです」
ふにゃりと。スレッタは眉を緩めて柔らかくはにかんだ。
確かにそろそろ頃合いだろう。腕を広げて迎え入れれば、スレッタは嬉しそうに胸元に擦り寄る。我慢をした分、ぴったりとくっついた肌から伝わる温度は不思議といつもより幾分か嬉しいもので、エランはなるほど一理あると感心した。
「…あったかいです」
「うん。なんだかいつもより気持ちいい気がするね」
「えへへ…私も、いつもより安心します」
甘えるように押し付けられた頭を撫でつつ、エランは明日以降の夜に思いを馳せる。この性交方法によれば、二日目は触れるだけのキス、三日目はさらに深いキス、四日目は性感帯への愛撫と徐々に解禁されていき、五日目にやっと挿入に至るのだという。
果たして最後まで我慢ができるだろうか。目下の懸念はそこにあったが、いざとなればスレッタを言いくるめてしまえばいいという結論に辿り着いた。
「お、おしり、触っちゃだめです」
「ふふ、バレた?」
悪戯がバレた子どものように笑って、エランは尻を撫でていた手を背に回し、たっぷりとした胸に顔を埋めた。やっぱりこっちも好きなのだ。頭を撫でる手のひらを感じながら、エランは暫しの間甘い肌を堪能することにした。
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