恐怖の墓守集団『死の棺』について


『死の棺』の名は現代では恐るべき宗教組織として知られている。
彼等は死したファラオの名誉を守るためにのみ存在しており、盗掘者には凄惨なる末路で報いる。

彼等はファラオの墓からの盗掘品(そのファラオにとっての重要さが優先順位に直結するらしい)を様々な手段で回収している。

その組織の詳細は不明だが、組織の最高位階はニトクリス担当の『死の棺』、各ファラオ担当の
『死の棺』、墳墓の庇護を任された『死の板』、それに従属する『死仮面』達とされている。

表側の世界では、宗教的な名目上の首領とされる『死の棺』だが、魔術側の世界では、その
脅威は有名である。

古代エジプトの秘儀や財宝を目当てにファラオの墓に忍び込んだ魔術師は、その多くが
生きたままミイラに加工された。

死霊対策をしていたはずの魔術師達が餌食になった理由は、忍び込んだ墳墓が神代の技術で造られた異界であることと、『死の棺』達は末端とは言え神霊に匹敵する存在であったからである。

19世紀のヨーロッパにおけるミイラブームで消費された物の大半は、ファラオや有力者たちのそれではなく、『死の棺』によりミイラに加工された盗掘者達のなれの果てと言われている。

 この恐るべき存在および組織が誕生したのは、紀元前2150年頃のファラオ・ニトクリスの治世後半における大事業『復権』が起源と『死の棺』は語る。

ニトクリスは分断と混乱の暗黒時代を終わらせ、王国に再び黄金時代をもたらした。
王国の運営が軌道に乗ったことを確認すると、ニトクリスは破壊や略奪の憂き目にあった過去のファラオ達の墳墓の大規模な復旧を開始した。
これが大事業と称される由縁は、19世紀と20世紀に発見された古王国期ファラオの墳墓のほとんどが、ニトクリス時代の修復の後が多々見られるからである。

 ニトクリスは順調に過去のファラオ達の墳墓の修復が進む中でも、未来に深い危惧を抱いていた。
未来にまた、ファラオの権威が落ちた時、彼等の墳墓はまた無残な姿にされるのではないか?
そう考えた彼女は、側近達に意見を募った。
対策案は無数に出たが、根本的な解決案ではなかった。
ニトクリスは嘆息したが、その中で有効な案を実施することに決めようとしたが、
側近の一人が奇妙な案を出したので、困惑した。

 その側近はニトクリスの兄弟を殺めた神官の血筋をひく者であったが、ニトクリスの手でその罪を赦され、彼女の狂信者となった者であった。
彼が語ったのは『御身と違い、人はいずれ腐る物です。 それらの集合体である国も当然ながらいずれ腐ります。 ならば腐らない物を守り手とすればいいでしょう』という物だった。

ニトクリスがどういうことかと聞くと『単純な事です。 希望者を材料に守り人を作ればいいのです。 まずは発起人である私がそれを実演しましょう。 もしもそれが御身の評価に値するとなれば、御身の墓の守り手に私をしていただきたい』
その狂気に満ちた案を、ニトクリスは却下しようとしたが、彼の瞳から覚悟を見て取り、渋々許可を出した。

 そして件の側近は見事に地獄の苦痛を狂信により耐え凌ぎ、最初の『死の棺』となったのである。
その後はファラオの権威に殉ずると決めた狂信者たちが、次々と『死の棺』や『死の板』になり、その従者達も『死仮面』に転生した。
彼等はファラオの権威の守護者として、以後長く畏怖の対象であったとされる。

それから800年間はエジプト王国に混乱はあれど『死の棺』達にとっては安穏な時代が続いた。

だがアクエンアテンというファラオにより既存の秩序が破壊されたことで、組織としての『死の棺』も各墳墓の守護者としての『死の棺』も大打撃を受けてしまった。
アクエンアテンの死によって、既存秩序の回復が試みられたが、それは無為に帰し、エジプトは墳墓にとっても動乱の時代を迎えたのであった。

 その後、組織としての『死の棺』は複数の派閥に分かれ、時に表の組織やアトラス院、山の翁等と協力しながら、副葬品の回収をしているのだという。
また墳墓にある副葬品や遺骸を、異界と化した裏墳墓に移動するようになったのも、この頃だとされている。
なので古王国期及び、『死の棺』が関連している墳墓では遺骸が見つかってもファラオの物ではなく、人間だった頃の彼等の遺骸の可能性が高いとされている。

余談
 ニトクリスがサーヴァントとして召喚された際には『死の棺』達が必ずついてきている。

用語集
『死の棺』
基本的にはポケモンのデスカーンだが、印象は幾分かおぞましい物となっている。
神代の魔術師の上澄みであることや、墳墓という異界の加護を得ているので、神霊級の力を有している。
彼等はミイラ化を、副葬品を盗んだり、ファラオの遺骸に傷をつけた者達に、永遠の苦痛を与えるために行う。

『死の板』
 基本的にはポケモンのデスバーン、ただし表面の紋様の個体差は大きいし、紋様の種類は任意に切り替えられるようだ。
彼等は普段は墳墓の壁に擬態し、愚かな侵入者を捕食している。
捕食された侵入者は、魔術によって肉体も魂も墳墓を維持する燃料に加工される。

『死仮面』
 基本的にはポケモンのデスマス、『死の棺』の恐るべき使者で、数多くの盗掘者の命を奪った。
殺害方法は物理的に潰したり、呪いで衰弱させたり、皮膚病に感染させたりと多岐にわたる。
また組織『死の棺』の規則を破った者を殺し、魂を『死の棺』のもとに運ぶのも彼等の仕事である。

組織『死の棺』
ニトクリスを頂点としたファラオの権威を守るために結成された組織。
基本的に上記の目的のためならいかなる事でも行う危険な団体である。
4000年以上の歴史があるので、構成員は世界中に点在している。
経済力や暴力、政治的な圧力等を駆使して副葬品を集めているが、ヌオー由来の品物も
ファラオの副葬品に相応しいと収集しているようだ。

 彼等はニトクリスの夫セベクを、ヌオーの祖と考えているので、ヌオー達を
聖獣として崇めており、その関係でヌオー由来の教団とも繋がりを持っている。
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