「無理を言うな 俺はもう」前日


日車「君の目すらまともに見れない人間になってしまったんだ」
虎杖「それって俺に手出して気まずいから?」
日車「は…………」

虎杖「あれ、もしかして覚えてない?初めて会った時に日車が突然、」
日車「いや覚えている。覚えているに決まっているだろう」
虎杖「そっか、忘れてるのかと思ってた。日車、再会してからあの時の話全然しないからさ」
日車「忘れる訳がない……君に酷いことをしたんだから。何を言っても言い訳になるが、あの時の俺は自暴自棄になっていた。そこに君が現れて…俺は、………」
虎杖(頭抱えちゃった……)

日車「今でも夢に見るんだ。泣いて嫌がる君を手篭めにする、あの日の夢だ。あの日のことを君に話して君が傷つくことは勿論、少しでもあの過ちを思い出すことが怖かった」
虎杖「……」
日車「…被害者の君に話すべきことではないのは分かっているんだ。今更償いようのない罪なのに、よりによって君に懺悔して楽になろうとしている」

虎杖「……」
日車「……すまない、忘れてくれ。もう俺のことは気にしなくていい」
虎杖「思い出したくないくらい辛い記憶ならさ、上書きすればいいんじゃね」
日車「上書き……?」
虎杖「うん。もう1回しようよ、セ○クス」
日車「は?(は?)」

日車「君は、何を言っているんだ…?」
虎杖「もう1回してみようよ。次は勝負とか無しで、お互いがちゃんと気持ちよくなれるようにさ。そしたら日車が悪夢に苦しめられることもなくなるんじゃない?」
日車「…本気で言っているのか?自分を安売りするのも大概に、」
虎杖「安売りしてるつもりなんかない。日車ならいいよ」
日車「駄目だ、やめてくれ。俺のために君が傷つく必要は無いんだ。俺は、これ以上君を穢したくない…」
虎杖「確かにあの時はキツかったけど、日車の話を詳しく聞かずに勝負に乗った俺もかなりの大馬鹿だったし。そもそも汚されたなんて思ってないよ」
日車「そんなの嘘だ…」
虎杖「俺本人が言ってんだから信じてよ」

虎杖「で、どうする。する?しない?」
日車「………、俺には…そんなことは…」

虎杖「……俺の身体めちゃくちゃにした責任、取ってくんねえの?」

日車「……ッ!」
虎杖「びっくりした?俺のこと全然見てくれないからちょっと仕返し。すごいリアクションだったけどもしかして耳弱かったりする?」
日車「大人をからかうな」
虎杖「じゃあ大人らしく責任取ってよ、日車先生」

日車(彼らしくない悪戯……いや違う。これは引け目を感じている俺を煽って『その気』にさせるための彼なりの……)
日車(……ああ、君はどこまで……)

日車「君はどんな俺も赦してしまうから、この気持ちに際限がなくなりそうで怖くなる……」
虎杖「急になに?J-POPの歌詞?」

日車「虎杖……」
虎杖「なに?」
日車「俺に…責任を取らせてくれ」
虎杖「いいよ。明日の夜、俺の部屋で待ってる」
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