4月馬鹿5スレ


今日はエイプリルフール。つまり、ウソをついても良い日。ウソをつくのは苦手だけど、こんなことを言ったら驚くかな?どんな顔をするかな?と思いを巡らせながら、何を言おうか考える。どうせならとても驚かせてみたい。じゃあ、「あなたのことは嫌いです」と言ってみる?でも、スレッタはエランのことが好きだ。だから、ウソをつくのは心苦しいけど、エイプリルフールだから……。そう自分に言い聞かせる。
でも、やっぱり緊張する。もし、嫌われたらどうしよう?と不安になるが、思い切って口を開く。
「あ、あの……エ、エラン、さん」
「うん?」
エランはスレッタの緊張を感じ取ったのか優しく微笑む。
その笑顔を見て、ますますドキドキしてしまうが勇気を出して言う。私はエランさんのこと、本当は好きなんです。でも、今日はウソをついてもいい日だから……ごめんなさい!と心の中で謝った。
「どうしたの?そんな思いつめた顔して」
「あ、あの、その……エランさんのこと……き、き」
「き?」
「嫌い、です」
「……え?」
言い終わると同時に顔が真っ赤になってしまう。ああ、どうしよう……嫌われたらどうしよう?恐る恐るエランの顔を見ると、彼はとても悲しそうな顔をしていた。やっぱり傷つけてしまったかもしれない。
「そっか……やっぱり僕のこと気持ち悪いって思う?初対面のときから距離感間違えちゃったもんね」
エランは自嘲気味に笑いながら言う。スレッタはそんなことはないです!と強く否定するが、彼は納得していない様子だった。
「でもさ……これからは僕も気をつけるよ。本当にごめん」
「いや、その、ちがくて……」
ああ……やってしまった。どうしよう?何か言わないと……!焦るスレッタだったが何も言えなかった。そしてそのまま沈黙が続いた。しばらくして、エランはため息をつくと立ち上がる。
「分かったよ。もうこれ以上関わらない方がいいね。それじゃ、さようなら」
そう言って去ろうとするエラン。スレッタは慌てて立ち上がり、彼の袖を摑んで引き留める。
「ま、待ってください!」
「まだ何か用?」
エランは冷たく言い放つ。スレッタは怯まずに勇気を振り絞って言う。
「あ、あの……その……ウソなんです!今日はエイプリルフールだから、エランさんにウソをついちゃったんです……!本当はその……嫌いなんかじゃなくて……ずっと好きっていうか……」
恥ずかしさのあまりどんどん声が小さくなっていく。顔が熱い。きっと真っ赤になっていることだろう。それでも彼に伝えたい言葉があった。だから勇気を出してもう一度言う。
「私はエランさんのことが大好きなんです。でも、驚かせてみたくてついウソをついてしまって……ごめんなさい!」
スレッタの言葉にエランは驚いたように目を見開く。そして優しく微笑んだ。
「あー……そういえば、今日ってエイプリルフールか。そっか、そういうことか……良かった」
エランは安心したような笑みを浮かべる。スレッタもホッと胸をなでおろす。
「でもさ、ウソつきの悪い子にはお仕置きしなくちゃね……とりあえず僕の気が済むまで」
エランはニヤリと笑う。スレッタは顔を引きつらせながら後ずさりをするが、すぐに壁に追いつめられてしまう。逃げ場はない。スレッタは覚悟するしかなかった。
「あ、あの……お手柔らかに……」
スレッタは怯えたような声を出すがエランは笑うだけだった。そして、そのまま彼女の耳元に唇を寄せると囁いた。
「だーめ♡嫌いって言われてショックだったんだからね」
スレッタはビクッと体を震わせる。エランはそんなスレッタの反応を楽しむかのようにクスリと笑った。そしてそのまま彼女を抱きかかえると寝室へと向かう。
「ちょ、ちょっと待ってください!私まだ心のじゅ……んっ……!」
スレッタの言葉を遮るかのように口づけをするエラン。何度も角度を変えてキスをした後、口を離すと今度は首筋に舌を這わせる。スレッタはくすぐったそうに身をよじらせたが嫌がってはいないようだ。むしろ喜んでいるようにも見える。その様子を見たエランは満足げに微笑んだ。
「ねえ、僕のことを見て僕のことだけ考えて」
エランはスレッタに囁くと再び深く口づけをした。二人はそのままベッドに倒れ込み、ねちっこいお仕置きが始まった。

翌朝、スレッタは恥ずかしさのあまりシーツで顔を隠したままベッドの上から出てこなかったが、そんな様子もエランは愛おしく思った。
「ごめんね。やりすぎたかな?」
エランはそう言って優しく頭を撫でるとスレッタはシーツの中から少しだけ顔を覗かせる。その顔はまだ恥ずかしさが残っていたが、どこか幸せそうな表情だ。
「いえ……大丈夫です。あ、あの、許してもらえました?」
スレッタは恐る恐る尋ねる。エランは微笑んで答える。
「もちろんさ。だからそろそろ出てきてくれない?顔見たいな」
「あ、ありがとうございます……」
スレッタはようやく起き上がりベッドの上で正座をする。エランはそれを見てクスリと笑うと隣に座ってスレッタの手を取る。そして彼女の目を見つめながら優しく話しかける。
「ねえ、スレッタ。僕のこと好き?」
「……はい。大好きです」
スレッタは恥ずかしそうにしながらもはっきりと答える。エランは微笑むとそのまま彼女を引き寄せる。そして二人は再び唇を重ねた。
こうしてエイプリルフールに仕掛けられたスレッタのウソから始まった騒動は幕を下ろしたのであった。
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