第一話#
俺たちは……仕方なかったんだ。
こんなふうに犯罪に手を染めた理由も。
全て理由があってやったんだ。
地震に、退社・退學。
もう、ドン底に落とされていたんだ。
*
「すいません彼のことですが……」
二人の社員、片方は社長のような服。もうひとりは、課長らしき服を著ていた。
「何だ? 」
「あぁ…こちらの書類に」
というと彼は、『退社願』と書かれた書類を社長らしき男に提出した。
「おい、何なんだこれは……五百澤が? 」
「はい、防犯カメラにこの眞實が……」
びっくりしている社長らしき男に追い打ちをかけるかのように、彼は、防犯カメラの畫像
を見せた。
『なんで五百澤…… お前が』
*
俺は、五百澤 亞嵐(イオザワ アラン)。30歲で、子二人。妻もいる。
ただのサラリーマンだが、俺には、一つ祕密がある。
實は……『この會社の金を橫領してる』。
「あれ―五百澤―? 」
「……あ、ああ何だ? 」
「ここの書類何處やったっけ? 」
彼は、俺の元幼馴染。
今は、俺と同じサラリーマンである。
「書類……? あぁ……パソコンの下にあったわ。メンゴ」
俺はそう言うと、彼にその書類を受け渡した。
「課長! あれ……課長は? 」
「あぁ……さっき社長室へ行ったが……」
いつもなら行かないはずなのに、別のところへ行った課長に違和感を覺えながらも、仕事を續けていた。
――十七分後――
「諸君。言いたいことがある」
社長は、何故か硬い顏をして、課長とともに、部屋に入ってきた。
「なんですか? 」
輕く聞き返したが、何故か社長の恐ろしい眼光が、こちらへ向いた。
その顏に俺は恐怖を覺え、冷や汗を流した。
「えぇ~本日より退社させていただく者が出てしまった」
「社長の言うとおりだ、こうなった火種は……『犯罪』。この會社の金を橫領した者が
いる」
俺はこの一言で顏色が變わった。
部屋内はザワザワしていたが、俺だけし~んとしていた。
「退社してもらうのは……」
「五百澤! お前だ! 」
『バレちまった……』
意外な犯人だったのか、周りもざわざわしていた。
「お前が? 」
「なんでこんなことを」
そう言われるのもそのはず。
俺は、十年閒この會社で働いていたベテランだったからだ。
不審者を捕まえたり、閒違えを訂正したり……
今この瞬閒、俺はヒーローからヴィランに變わった。
第二話#
俺は、五百澤 翔(イオザワ ショウ)。
父は、五百澤 亜嵐である。
俺が通っている学校は、日費制で、一日に百円払わないといけない。
だが、俺らは、その金を一切払ってはいなかった。
授業料は、日費と同じだが、教材費を考えると、一ヶ月一万円は下らない。
もちろんこれは学校のルールに反しているので、犯罪である。
だが、俺らは、払わずに、もう六ヶ月は払っていない。
「翔! 何処見てんだ? 」
「あ……先生」
こんなふうに心のなかで語っていたら、先生に、注意された。
「『あ……先生』じゃない! 授業中だぞ」
「はーい」
疲れたような返事のあとに、周りから『クスクス』と笑い声が聞こえる」
「wwwwwwwww」
俺を煽るかのように聞こえた、笑い声に俺は敵意を示したが、敵意は何故か冷め、授業に
集中し始めた。
――休み時間――
「校長、翔の事についてどのようなお考えで? 」
「あぁ……そうだったな」
「退学にしたほうがいいのでは? 」
「やはりな……こちらとしてはしんどいが……」