【閲覧注意】アーサー♀とコンパス女性陣


謎時空でマリューさんとナタルさんに可愛がられるアーサー♀の話
ラクスもちょっとだけ出てくるよ
捏造注意


わぁ、今日も綺麗だなぁ。
定例会議のため、ヤマト准将やコノエ艦長らと共にアプリリウス市にあるコンパス本部の会議室に足を踏み入れたアーサーがまず考えたのはそんなことだった。
部屋にはすでにアークエンジェルの主要なメンバーであるマリュー・ラミアス大佐、ムウ・ラ・フラガ大佐、ナタル・バジルール少佐がそろってる。コンパスのトップであるクライン総裁はまだいない。
ラミアス艦長は今日も素敵だなぁ。ふんわりしていて優し気なお姉さんなのに、しっかり艦長としての仕事もこなしていてすごい。憧れるなぁ。あ、そういえばフラガ大佐とお付き合いしてるって噂本当なのかな。本当だったらすごくお似合いのカップルだなぁ。
バジルール少佐はいつ見ても凛としてる。制服は私とおんなじ黒なのに全然違って見えるなぁ。威厳があってかっこいい。でもバジルール少佐って私と同学年なんだよね?確か誕生日もひと月しか変わらないはず。大人っぽいなぁ。
もっと二人と話してみたい。ミレニアムには歳の近い女の人、あまりいないんだよね。ルナやアグネスたち若い子のお話を聞くのも楽しいし、ヒルダさんからスキンシップされるのも嫌じゃないけど、たまには年上や同い年の人とゆっくりお話ししたいな…
「トライン少佐!」
ぼんやりと考え事をしていたアーサーの思考を鋭い声が現実に引き戻す。
「は、はいい!!」
「トライン少佐、何をぼんやりしている!もうすぐクライン総裁がお越しだ。早く準備をするぞ」
アーサーに喝を入れたのはナタルだった。定例会議の準備や後片付けは基本的に各艦の副長で行っているのだ。
アーサーは慌ててミレニアム側で用意した人数分の資料を取り出し配布する。すると同じくアークエンジェルの資料を配っていたナタルがアーサーの資料に目をとどめた。
「ほう…」
「あの、どうかしましたか?」
少し困惑した様子でアーサーが尋ねる。なにか変なところでもあったかな…。
「この資料を作成したのはトライン少佐か?」
「はい!」
あ、やっぱり資料に不備があったのかな…。また叱られちゃうな…。アーサーはどぎまぎしながらも返事をする。
「そうか。読みやすくそれでいて情報が過不足なく載っている。いい資料だ」
しかしアーサーをまっすぐ見据えたナタルの口から出たのは賞賛の言葉だった。うっすらとだが微笑んでもいる。
「ほえ、え、はい!ありがとうございます!」
予想に反して褒められたアーサーは戸惑い、しかし意味を咀嚼すると満面の笑みを浮かべた。
「みなさまお揃いですのね。お待たせいたしましたわ」
ちょうど準備が終わった頃、ラクスが会議室にやってきた。

定例会議が終わった後は昼休憩となり、その後はアークエンジェル組、ミレニアム組分かれてそれぞれ本部での仕事がある。いつもならアーサーとナタルだけが少し残り、会議の片づけをしてから休憩に入るのだが今日は少し違った。マリューも残っていたのだ。ちなみにあなたは先に行っていてとマリューに促されたムウは一瞬いじけた顔を見せた後、キラを誘って部屋を出て行った。
「何かやることはある?」
「いえ、ラミアス艦長はお掛けになっていてください」
「私たちだけでもすぐに終わりますので!」
「そう?ならお言葉に甘えるわね」
部屋の端にある椅子に腰かけたマリューは片づけをするアーサーとナタルをニコニコと眺めていた。それを端目にアーサーは、この後バジルール少佐と二人でご飯でも食べるのかなぁ、いいなぁなどと考える。
「トライン少佐!また手が止まっているぞ!」
「え、ええー!!すいませんー!」

「アーサーさん、ちょっといい?」
また一言二言ナタルからの叱責があったものの、無事片づけを終え会議室を出ていこうとするアーサーをマリューが引き留めた。
「はい!」
初めてファーストネームで呼ばれたことに驚きと喜びを感じながらアーサーがマリューのもとに駆け寄る。駆け寄りすぎた。
至近距離まで迫ったため、アーサーは比較的背の高いマリューの顔を見上げる体勢となる。
そしてマリューのいい匂いによって少し惚けた頭でぼんやりと思い出した。
あ、これ学生時代に好きだった小説みたい。確か女子校を舞台にした群像劇で、ラミアス艦長やバジルール少佐みたいな素敵なお姉さんがたくさん出てきて、主人公の女の子は慕っている先輩のことを…
「お姉さま…」
最後の一言がつい口に出てしまった。
「え?」
「トライン少佐、大丈夫か?」
マリューがきょとんとし、ナタルも困惑している。
あれ?私今なんて…。え、嘘、ラミアス艦長にお姉さまって言っちゃった!?
「わー!!申し訳ありません、ラミアス艦長!」
一拍置いて、ようやく我に返ったアーサーがマリューに謝る。
「大丈夫よ。可愛い妹さん?」
マリューがくすくすと笑いながら答える。その後ろでナタルはどこか硬い表情をしている。
「それにね、ラミアス艦長じゃ堅苦しいでしょ?休憩の時くらいはもっとくだけた風に呼んで欲しいと思っていたの。例えば名前とかね」
「えっと、じゃあ、マリューお姉さま?」
アーサーが恐る恐るそう呼ぶと、マリューはアーサーのことをきゅっと抱きしめ、ナタルもいよいよ耐え切れなくなったのか笑い声を漏らした。
「そうね…。私たちだけのときならそれも嬉しいけど。外ではちょっと恥ずかしいから普通に呼んでくれる?」
「はい…」
マリューに抱きしめられ顔を真っ赤にしたアーサーが消え入りそうな声で答える。そしてナタルに対して助けを求めるような視線を向けた。
「ねえナタル。この子、ナタルのことも名前で呼びたいみたいよ」
マリューが悪戯っぽい笑みを浮かべてナタルを見る。
「ええー!!私、そんなこと…」
「そうか、私とは親しくなりたくはないか」
アーサーが抗議しようとすると、ナタルが少しわざとらしくがっかりした様子を見せる。
「い、いえ、仲良くしたいです!ナタル、さん…?」
アーサーが上目遣いでナタルを見る。ナタルは少し驚いたような顔をした後、マリューと目を見合わせて笑い、その後アーサーに視線を戻して答えた。
「ふふ、よろしく。アーサー」

「あら?まだここにいらっしゃいましたのね」
会議室のドアが開き、ラクスが顔を覗かせる。
「楽しそうですわね。何をしていらっしゃったのですか?」
「ラクスさん。そうねぇ、姉妹ごっこかしら」
部屋に入ってきたラクスにマリューが答える。
「姉妹ごっこ?」
「この子が私のことお姉さまって」
「わ、わー!」
恥ずかしさに耐え切れなくなったアーサーが誤魔化そうとするが効果は無い。
「私もご一緒してもよろしいでしょうか?キラがフラガ大佐に取られてしまって退屈なんですの」
「ええ、もちろん」
「それではよろしくお願いいたしますわ。マリューお姉さま、ナタルお姉さま、アーサーお姉さま」
ラクスが微笑んで一人ひとりの名前を呼ぶ。
えー!今、クライン総裁が、昔からずっとテレビで見てきたラクス様が私のことお姉さまって…!あ、どうしよう、すっごく可愛い…。




おまけ 帰り道のマリューさんとナタルさん

「そういえば、先ほどはアーサーを何の用で引き留めるおつもりだったのですか?」
コンパス本部から停泊中のアークエンジェルに戻る車中、ナタルはマリューに問いかけた。
「そうねぇ、一つはもっと私たちに気楽に接して欲しいっていうのと、あと一つは…」
マリューは言葉を選びながら答える。
「あと一つは?」
「ナタル、あなたあの子に結構厳しかったでしょう?」
「アーサーは少しぼんやりしているところがありますから。それでも仕事はきっちりこなしますし優秀なことは分かっていますが…」
「そうなの。あなた、アーサーのこと評価はしているんでしょう?だから、あまり怖がらなくても大丈夫よって伝えたかったのだけど」
「そんな必要はありませんでしたね…」
マリューとナタルは会議の後の人懐っこい様子のアーサーを思い出す。自分たちと同じくらいの年だというのに素直に慕ってくれる様子はとても可愛らしかった。
「今日のナタルは昔みたいだったわね」
そういってマリューは微笑む。
「昔、ですか」
そう言ってナタルはAAがまだ連合の所属だった頃を思い出す。あの頃はクルーもまだ新人で、ヘリオポリスの学生たちもいて、厳しい言葉をかけなければならないことも多かった。アーサーは元はザフトの黒服で、今はミレニアムの副長を任されていて、間違いなく優秀なはずなのだがどこか危なっかしいところがあり、当時の学生たちのように見守ってやらねばならない、いや見守ってやりたいとナタルは感じるのだった。
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