新婚キタちゃん 3月30日編


「やりたいことですか?」

「ああ。なんでも言ってくれ」

「う~ん……。そんなことを言われても、急には思いつかないですよ」

「それもそうか……」

「……もしかしてですけど、今日って何かの記念日だったりしますか?」

「えっ! ……と……。そう……だな……」

「ふふ……やっぱり。急にそんなこと言うなんておかしいですもん」

「うっ……そんなにおかしかったか……?」

「はい、凄く」

「そ、そうか……。くっ……もっと自然に出来ないのか……俺は……」

「ま、まあまあ……。そこまで落ち込まなくても大丈夫ですよ……。そ、そうだ! 結局今日は何の日なんですか! あたし……気になります!」

(めちゃくちゃフォローされてるな……俺……)

「……今日は妻がうるおう日らしいよ」

「うるおう……ですか?」

「ああ。今日は年度末になるだろ? だから今日までの努力をたたえて、新しい年度に向けて感謝を伝えると共に、自分が喜ぶことをしてもらう日なんだって」

「へぇ~……何だか嬉しい日ですね……って、あれ? でも、年度末って言うなら明日の方が良いような……。なんというか区切りが悪くないですか?」

「まあ……そうなんだけどな……。こういうのって企業が制定するだろう? だからその……あるヨーグルトの発売に合わせてこうなったというか……」

「な、なるほど……。ま、まあ良い日なのに違いは無いですからね! それだけで十分です!」

「だよな。だからこそなんでも言ってくれ! 君の叶えたいことを叶えてたいんだ!」

「う、うええ!?」

(ご、強引な……。でも割とこういうところあるんだよね……結構頑固というか……。まあ……そういうところも……ゴニョゴニョ……)

(って、そうじゃなくて! やりたいことだよ! でもやりたいこと……というか、やってもらいたいことだよね? う~ん……いつも色々やってもらってるし、これ以上何かを望むのはちょっとなあ……。でも決めないとだし……う~ん……。……そうだ!)

「……何でもいいんですか?」

「ああ、勿論!」

「……ふふ♪ それなら……トレーナーさん!」

「は、はい!」

「あそこのソファーに座って下さい!」

「そ、ソファーに? わ、分かったよ……これでいいのか?」

「はい! ……ではあたしも失礼して……」

「キタサン? 何で俺の膝に頭を置くんだ? これじゃあまるで……」

「ふっふっふ……気づかれてしまいましたね……。そうです! これは膝枕ですよ!」

「……だよな。えっと……これがやりたかったことなのか?」

「はい!いつもはあたしが膝枕する側なので、逆もしてみたいなと思いまして!」

「そ、そうか……まあこれくらいならお安い御用だが……う~ん……」

「えへへ……ちょっと硬いかもだけど何だかしっくり来る枕だぁ……」

「お、おう……なんか変な感じだな……いつも君はこんな感覚になってるのか?」

「まあ……概ね……そうですね……」

「……って、もう眠たそうにしてないか?」

「だって……気持ちいいんだもん……。あっ……そうだ……頭も撫でて……」

「……よしよし」

「はふぅ……幸せ……だ……なぁ……」

「キタサン?」

「すぅ……すぅ……」

「本当に寝ちゃった……。これが本当に叶えたいことだったのかな? ……よしよし」

「……えへへ」

「ふふ……まあ今はこの笑顔だけで十分かな? また起きた時に何かあるか聞いてみよう」

「だい……すき……」

「うん、俺もだよ。いつもありがとう、これからも末永く宜しくな」
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