ホワイトデー


マロングラッセを手に取り、少し眺めてから口に含み美味しそうに笑う正雪をお茶を飲みながら盗み見る。
(随分と気に入ったようだな)
一通り食べ終えた正雪はお茶を飲み、一息つくとやっとこちらを見た。
「流石エミヤ殿だ。どれも見た目も味も素晴らしいものだな」
「そこまで喜んでもらえたのならば作った甲斐があったな」
「作った?」
正雪は驚いたのか渡した甘味と俺の顔を困惑したように何度も見る。
「い……おり、殿が?」
「そうだ」
「これを、全て……?」
「バームクーヘンはエミヤ殿が作ったが、それ以外は俺が作ったものだ」
「うぁあああ……」
これは不味いと残った甘味を正雪の前から寄せると、正雪はそのまま頭を抱えうめき声をあげ机に伏した。


「落ち着いたか」
「見苦しいものを見せた」
まだ顔を真っ赤にさせたままどうにか平静を保とうとする正雪を見て少しイタズラ心が湧いた。
「そうだ、正雪。知っているか?」
「他にも何かあるのか!?」
「ホワイトデーに渡す甘味には意味があるそうだ」
「え、あ……。全部、意味が、あったのか?」
そう言って残ってたマカロンを手に取る。
「これには」
「待ってくれ!伊織!」
さぁ、この愛しい人は最後まで耐えられるかのだろうか。
(いや、無理だろうな)
そう思い、ほくそ笑むと顔を真っ赤にした正雪の口にマカロンを含ませた。
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