「無理を言うな 俺はもう」勘違いまで


~翌日の夜、虎杖の部屋~

コンコンコン

虎杖「!」

ガチャ

虎杖「本当に来てくれたんだ」
日車「約束だからな。…お邪魔します」
虎杖(正面に立ってるのに相変わらず目は合わないんだよな…)

虎杖「狭いかもだけどそこは勘弁ね」
日車「あのポスターは…」
虎杖「お目が高いねお客さん。あちらにございますは俺の好みのタイプど真ん中な美女のポスターです」
日車「そうか…」
虎杖「『俺とは似ても似つかない綺麗な女性だ。こんなに健全な好みを持つ少年に俺はまた手を出すのか』…とか考えてる?」
日車「…どうして分かったんだ」
虎杖「何となく。日車ってちょっと考え過ぎなとこある気がするから」
日車「帰る」
虎杖「拗ねんでって」

虎杖「ところでさ、さっきの日車のモノマネけっこう似てなかった?」
日車「本当に帰る」
虎杖「ごめんって!」


虎杖「お茶しかないけどいい?」
日車「構わない。ありがとう」

虎杖「…本題に入るけどさ、あの時してないことをしたり、触ってないとこを触ったりすんのがいいかなって思ったんだよね。突っ込むだけでそれ以外はあんまりだっただろ?」

虎杖「例えば…何だろ。チューとかしてみる?」

ゴホッゲホッ!!

虎杖「うわ、大丈夫?噎せた?」
日車「……ッだ…いじょうぶだ…」

虎杖「あ、チューするにしても日車は俺の目見れないんだっけ。目隠ししよっか、俺」

ゴホッゲホッゴホ!!

虎杖「お茶口に合わんかった?」
日車「……ッそうじゃない……君が淡々と凄いことを言うものだから、驚いた…」
虎杖「そう?まあ物は試しにさ、やってみようぜ。目隠せる布…はタオルでいいかな」ドタドタ
日車「……」

日車「…どうだ、きつくないか」
虎杖「ん、平気。うわ、本当に何も見えねえ…日車、ちゃんと俺の前にいる?」
日車「ああ。ここにいる」

虎杖(…あ、手握ってくれた。安心させようとしてくれてんのかな。冷たくてごつごつしてるのにあったかい感じがする。……こんな手してたんだな、アンタ)

虎杖(視覚が遮られてるからか、普段より聴覚や触覚が敏感になってる気がする。服が擦れる音や日車と俺の息遣い以外は聞こえないのとか、いかにも『それっぽいムード』って感じだ)

虎杖(…やべ、ちょっと緊張してきた。手汗かいてんのバレてねぇかな…)

日車「虎杖」
虎杖「…!な、なに?」
日車「もう絶対に君を傷つけないと約束する。だから…今日だけでいいから、俺を受け入れてほしい」
虎杖「…うん」

虎杖(さっきは拗ねて帰るとか言ってた癖にこういう時には大人ってとこ見せてくんの、ずるいな…)

日車「…キスをしても?」
虎杖「……ん」

虎杖「はは…日車に捧げちゃった、俺のファーストキス…」
日車「……」
虎杖「…なんつって」
日車「……」
虎杖「自分で言っといてなんだけど罪悪感とか持たなくていいからね?」
日車「罪悪感が無いと言えば嘘になるが、元より覚悟は決めて来ている。ので、問題ない」
虎杖「ちょっと声震えてない?」
日車「ノーコメントだ」


日車「ここだと身体を痛める。君のベッドを使ってもいいか」
虎杖「おう。…男二人分の体重耐えてくれるかな」
日車「一般的なシングルベッドの耐荷重がだいたい150kg程度、マットレスなどの重さも含めて考えるとかなりギリギリかもしれないな。ものによるだろうから君のベッドも一概にそうとは言い切れないが」
虎杖「激しく動いたら壊れちゃうかもな。…優しくしてね♡」
日車「…………はあ…」
虎杖「静かにドン引きされるのが一番凹むんだけど…」
日車「引いている訳じゃ……いや、もういいか…」

※ベッドの耐荷重については適当にググっただけなので間違ってるかもしれません
虎杖の部屋のベッドは百折不撓なので男二人乗っても大丈夫だと思います


日車「そこに座ってくれ。俺は君の正面に座る」
虎杖「分かった。ベッドまで連れてきてくれてありがと」
日車「これから君にすることを考えれば大したことじゃない」
虎杖「服とか脱いだ方がいい?」
日車「君がいいなら」
虎杖「おっけ、取り敢えず上脱ぐわ」

虎杖「っしょ、っと。…俺だけ上半身裸の絵面、ちょっとシュールだろうな…。目隠ししてるから仕方ないけどせっかくなら日車の身体も見てみたかったかも」
日車「…あの時も俺の身体をやけに見たがっていたな」
虎杖「あー…。あの時は俺が一方的に見られたり触られたりしてたからさ。フェアじゃねぇなとは思ってたかな」
日車「フェア、か…分かった」
虎杖「あ、」
日車「これから君に触れるが、君も遠慮せず俺に触れてくれ」
虎杖「う、うん…。じゃあ、失礼シマス…」
日車「ああ」

虎杖(取り敢えず手を伸ばしてみたけど…ここは肩…か?鎖骨があって…今は…胸の真ん中あたりかな。いかにも鍛えてますって感じじゃないのにがっしりしてて、大人の男の身体って感じがする。他のところも触ってみたいかも…)

日車「…ッん」
虎杖「わっ…!?ご、ごめん」
日車「いや、大丈夫…少しくすぐったかっただけだ。気にせず続けて」

虎杖(び、びっくりした…!!普段の日車を知ってるぶん、余計に聞いちゃいけないもん聞いちゃったような気がする……声、なんかエロかったし……)

日車「触られて嫌なところがあったら言ってくれ」
虎杖「うん……」

虎杖(日車の手…どこをどんな風に触ってくるのか全然分かんねぇのに不思議と怖くない。手つきは優しいけどただ撫でてるって感じじゃなくて、なんていうか、この後のための下準備を念入りにされてるみたいな……)

日車「虎杖」
虎杖「は、はい!?」
日車「緊張しているのか」
虎杖「え?や、その…」
日車「ここ。触り始めた時と比べて明らかに鼓動が早くなっている」
虎杖「……慣れてなくてすみませんね…」
日車「いや、俺も君と同じだ。ほら…もう少し手をこっちに」
虎杖「……あ…すげぇドキドキしてる。日車も緊張してんの?」
日車「他でもない君に触れているんだから当然だろう」
虎杖「え、え~~……?日車サンってそういうことさらっと言えちゃうタイプ……?」
日車「?」

虎杖(無自覚誑しってコワ……普段もたまに言葉選びが気障な時があるんだよなぁ日車…)

日車(一見気丈に振る舞っているがさっきより顔が赤いうえにどこか落ち着かない様子に見える。恥ずかしい気持ちを抑えて俺に身体を預けてくれているんだろう)

日車(これは彼の優しさの上に成り立っている関係だ。欲に流されて無理はさせたくない)

日車(それなのにこうして彼に触れて鼓動の早さを共有していると、衝動に身を任せてしまいたくもなる。彼は俺を信頼して身体を許してくれているのに)

日車(……醜い…)

虎杖「日車、さっきからずっと胸ばっか触ってるけど好きなの?」
日車「…!す、まない…(考え事に)夢中になっていた」
虎杖(日車は尻より胸派か…)
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