とある女性士官の日誌


△月○日
今日から日誌を付けることにしました。
ギャラルホルン解体指示から約三週間。
私は今日から、ギャラルホルン アリアンロッド艦隊から
世界平和監視機構コンパスのヤマト隊改めファリド隊に転属になった。
ファウンデーション事変以降、准将や総裁達はMIAと判定されており、その穴埋めとして、新たにアルミリア様が二代目総裁に、ファリド准将が新たな隊長へ昇任する事になった。
私を含め、その気のある者達は皆、ギャラルホルンからコンパスに再編入される事になった。と、言っても殆どの者達が私と同じ、元アリアンロッドか地球外縁軌道統制統合艦隊、又はマクギリス准将の活躍やアルミリア様の演説を聴いて心動かされた改革派の者たちばかりで、それ以外の保守派ギャラルホルン兵は野に降るか、捕縛されるか、恥も知らずテロリストになるかのどれかばかりだった。恥知らず共め・・・
ラスタル様が我々の罪を殆ど被ってくれた事で、私達は大きな罪に問われずそのままコンパスに組み込まれた。
ラスタル様は最悪死刑になるのではと思われたが、マクギリス准将やアルミリア様が便宜を図ってくれたおかげで、何処かの安全な場所で刑期作業を行っておられるらしい様だ。
今は、少しでもラスタル様の環境を良くする為には、少しでも速く、より多くの武功を挙げねば・・・

△月✖︎日
私が編入されて一週間も経たず、スクランブルが発生した。
ブルーコスモスによるテロだった。
奴等は聴いていた通り、警告も無く国境を越え無差別攻撃を行っていた。
ファリド准将の指示は、
アスカ大尉は危険度の高い敵の撃破、
アグネス少尉は政府施設防衛、
ルナマリア中尉は遠距離援護、
ヒダカ少尉は航空部隊の撃滅、
イサリビから降下した鉄華団の部隊は各部隊が遊撃しつつ民間人の保護優先、

私は地上で隊長と共に前線を任された。
失礼だが最初、意外だと思った。
基本、嘗ての敵は後方待機だと思ったが、ファリド隊長は余りそこは気にしない様だ。
私はレギンレイズ・ジュリアを駆り現場に降り立つが、凄惨の一言だった。
国軍が早めに気付けたおかげか、まだそこまでの被害は出てなかったが、
奴等は容赦なく、民間人へビームやバルカンを浴びせており、人の所業とは思えなかった。
しかも、その中にはギャラルホルンの機体でもあったグレイズの姿もあり私は思わず悪態を吐いたほどだった。
降り立った我々は素早く展開を終えると、それぞれの闘いをはじめた。

アスカ大尉はすぐに連合製MAや航空ユニットを装備したウィンダムに斬りかかり、鮮やかに撃墜していく。
ルナマリア中尉は遠距離から見渡しのいい場所を確保して、
アスカ大尉や鉄華団のMW隊を支援する。
アグネス少尉は余り出過ぎない様気をつけながら、施設に近づく敵を迎撃していく。
ヒダカ少尉は空を舞い、素早く、豪快に対艦刀を振り回してウインダム部隊を蹴散らしていく。
鉄華団の主力部隊は、
バルバトスの部隊が前線で大暴れして、前線を押し上げており、
グシオンの部隊が民間人の盾になりながら、中距離援護、
鹵獲されたバリア持ち連合製MA部隊を率いるフラ・・・では無く、流星号が避難場所に仁王立ちして、死守していた。
団長が率いる前線指揮部隊から、中継で細かく、素早い指揮を全員に飛ばしており、ファリド隊長や私も従い作戦を遂行した。
順調に前線を押し上げていると、遠方に巨大な機影が現れた。
デストロイ
連合製MAの中でも、最大級。
それが、円盤の様な状態から背中の砲塔から避難場所へビームを放った。が、流星号率いる部隊には効かずお返しと言わんばかりに砲撃を放つ。やはり向こうにも効かないが、隙をついたバルバトスとバエルが一瞬で接近してバルバトスが砲塔を有り余るパワーでへし折り、バエルがコックピットを貫いてデストロイは沈黙した。
これで終わりと思った。が、
何ともう一機が、中途半端な修理状態で、円盤すら背負っていない人型状態で現れて、避難場所では無く、ヤケクソなのか横へ向いて、薙ぎ払う構えを取っているのに私がいち早く気がつき、私は一気に距離を詰めてソードをバーニアの勢いも載せて突き立てた。
何とかジュリアのソードはコックピットを貫くことができた。が、発射が止まらないと直感した私はジュリアを砲口へ被さる様にその身を盾にした瞬間、コックピットのカメラがビームの光に包まれた。コックピット越しでもビームの熱さを感じ、背筋が凍り付いたが、私のジュリアは無事にビームを防ぎ切り、耐え切って見せたのだ!
デストロイが背中から轟音をたてて倒れた。
レーダーを見ると、少数となった敵は敗北を悟り撤退を始めていた。
ジュリアが力尽きた様に動かなくなった。流石に無茶をしすぎてしまった。
これではまたラスタル様に"行き急ぎ過ぎだ"と、怒られてしまう。
仲間達から心配する通信が響いて来たので、無事を報告しておいた。
ハインライン技術士官からの大目玉は覚悟しておこう。

△月□日
先日の闘いの事後処理や救護活動がやっと終わった。
国軍の対応が早かった事と、私達の活躍により犠牲者の数は死亡者と行方不明者を含め多くても、3桁で済んだ様だ。
メンバーの皆さんは瓦礫撤去や救助活動などを行いながら、鉄華団の全域輸送船ヒヨウから降ろされた補給を被災者達に配ったり、再度の襲撃阻止の為の国境警備などをこなした。
が、私は今回は補給配りをメインにこなしていました。
理由は当然ですが、ジュリアを破損させてしまったから。
皆さんからは、ジュリアを降りた後にすごく心配させてしまった。正直、ジュリアで無かったら死んでいたかもしれない。
マクギリス隊長からは、今後は気をつける様にと、注意を受けた、当然だ。しかし、君の活躍で犠牲を増やさずに済んだのは良かったと、称賛されました。あれしか無かったので当然の判断です。
地上部隊や救護部隊に現場を引き継ぎ、ミレニアムに戻りましたがやはりハインライン技術士官や、嘗てヴィダール殿の機体の一括整備を任されていたヤマジン・トーカ殿から、少しお叱りを受けた。
暫くレギンレイズ・ジュリアは損傷が酷く、パーツが特注である為、修復にかなりの時間を有するらしい。
私は、少し落ち込んだが、何とハインライン技術士官が何とかしてくれる様だ。
流石に新しいレギンレイズは用意出来ないが代わりになりそうな機体をプラントから取り寄せてくれるみたいだ。
少し、楽しみです。それまではデスクワークとシュミレーターで気を引き締めなければ。

△月△日
私の新しい機体の発注が降りるまで、私自身は内務処理か訓練でもしようかと思っていたら、今日プラントに寄港するとの事で、アスカ大尉を連れたルナマリア中尉やヒダカ少尉を連れたアグネス少尉から、今日は一緒にプラント市内に連れ出されました。
お二人に連れられ、私の着る服を選ぶ羽目になりましたが、着てみると意外にも悪く無く、かなりの数をいつの間にか購入してしまいアスカ大尉達がいつの間にか私たちの荷物持ちをさせられており、少し申し訳なってしまった。
もしかすると、ラスタル様もこんな日常を過ごす私を望んでいたのであろうか?

○月△日
三日月・オーガス曹長とシュミレーションを行っていると、整備班から遂に私の新しい機体が到着したと聞いたので確認する事に。
見た目からどうやらザフト製の機体らしくモノアイがやはり特徴的だったがカラーリングはかなり濃いめの青一色で、全身に姿勢制御スラスターが配置されており、背部の大型スラスターの左右にバズーカを牽引しており、かなり特徴的な見た目だった。
更に驚いたのは、何とこの機体はザフト製ながら、強襲任務の為の機動力確保の為、他の機体に比べて厚さは薄いがナノラミネートアーマを搭載した初のエイハブ・リアクター搭載機な上、エイハブ・スラスターを搭載しており非常に高度な奇襲戦が可能な機体だ。
ビーム兵器は厄祭のMAのビーム砲を解析してエイハブ粒子をザフト製兵器のエネルギーに変換して使用可能にしているらしい。
武装は収束と拡散の打ち分けが出来る高出力ビームショットガン、
頭部や腹部には牽制やミサイル迎撃用のCWIS、
近接兵器のメインであるヴァジュラビームサーベル、
背部のバズーカは嘗てヒルダ大尉の乗機だった機体のメイン武装であり、名前はギガランチャーDR1マルチプレックといい、此方も実弾とビームの打ち分けが可能の様だ。
私が一番嬉しかったのがハインライン大尉がレギンレイズ・ジュリアの装備を参考に製作してくれた専用装備、ビームソードウィップ『アイビー』。このリスペクトに私は脱帽したい思いだった。
どうやらこの機体はゲルググやギャンと同じ時期に試作開発されたものの、当時はまだギャラルホルンの目があり表に出せず倉庫で埃を被りかけていたのを、ハインライン大尉が引っ張り出してくれた様だ。
名前は、ケンプファーという様で実際に試運転してみると、流石ザフト製というべきか軽快に、想像以上に、思い通りに動けた。
しかし、少し速度が物足りなく感じたのでハインライン大尉やトーカ殿にジュリアが肩や脚部に装備していた機関砲内蔵スラスターを装備して欲しいと頼んでおいた。
すると、お二人は一週間もかからず私の要望通りに仕上げてくれたのだ。
しかも、カラーリングもトーカ殿の計らいで嘗てのジュリアに寄せてくれた。感謝しても仕切れない。
この機体はコンパスから私への信頼の証。
ラスタル様の環境改善の為にも、必ず期待に応えなければ。

✖︎月△日
今日は、オーブにて夏の収穫期を迎えたという事で鉄華団や民間の人々達と共に野菜の初収穫を行い、料理イベントに警備員の立場ですが参加させてもらいました。
新参の私などが参加してもよいものかと思ったのですがオルガ団長から「むしろ新参だからこそ輪に入ってかなきゃいけねえんだ」と言われ、三日月・オーガス曹長からは「土地使わせてもらってるんだから」と至極真っ当な指摘を受けた。
自分でも気付かぬほど、ギャラルホルンという拠り処を失った喪失感は大きかったのだと、痛感した。私は未だ、新たな一歩を踏み出しきれていないのだと。
ですが、人員整理や迷子の案内をやっていくうちに「そのようなことは気にしていられない」と思うようにもなった。

マクギリス隊長や石動上官、更にアルミリア総裁も変装して参加していたが、総裁と隊長の年齢差と身長差に加えて、
みなさんもアロハにサングラスを着こんでいて、シュールに感じてしまった。
私は隊長に、前から聞きたい事があり一人を見計らい声を掛けた。
それはMIAとなったラクス前総裁やフレイ総裁代理、
そしてキラ・ヤマト前隊長を探したりしないのか?と、話を聞いてみた。
私は少なくとも彼らが死んでいるとは一切思ってない。
隊長は、ギャラルホルン時代から彼らとくつわを並べたいと思っていた筈。すると隊長はすんなり答えてくれた。
彼らはこれまで多くの人々の象徴になったり、されたりしており暫く休みが必要だと言っていた。
聞いてみると、彼らは誰よりも平和を愛し、どんな理由の争いだろうと嫌悪しており一日でも早く争いを無くそうと無理をしていた様で、其れが原因で仲違い寸前だった様です。
しかし、ファウンデーション事変の際に互いを思い合っている事にやっと気付いたらしく、これまでの時間を取り戻す為と情報錯綜から逃れる為と余り三人に頼りすぎない様にする為の行方不明の様です。
つまり、彼らがいない間のこの平和な日常を守ることと、ファリド隊長やアルミリア総裁を支えるのは残された我々の役目と言う事である。
私もみなさんと足並みを揃えて、気を引き締め無ければ。
私だけでは何もできないのだから。

✖︎月✖︎日
今日の任務は正に快挙と言うべきだろう。
ユーラシアからの緊急要請でやって来て、目撃したのは偶然掘り起こされた休眠状態の厄祭のMAだった。
嘗ての火星やファウンデーション事変に相手取り、手も足も出なかったのは昨日の様に思い出せた。そして現在、自家の機体と行方を眩ませ、行方を調査中のあの馬鹿のせいで動き出してしまった事も思い出せてしまった・・・。
今回は一切合切の被害を出すことなくこれを無力化する事が我々の任務だった。
ダインスレイブを装備した部隊を三箇所に配置して、更に探知範囲ギリギリに鉄華団を中心にしたガンダム ・フレームを配置、それ以外の部隊も同じぐらいの位置に配置され、
破壊を行うのは、何とアスカ大尉のデスティニー単騎が専用に用意された巨大な対艦刀で破壊するという作戦だった。
あくまでもMAにはエイハブ・ウェーブしか探知されないのを逆手に取った作戦の様だ。
どうやらコンパスの新たな活動の為のパフォーマンスといざが起こった際の対応の為だと言う。

アルミリア総裁は「数多くのデストロイガンダムや有人MAを討ったシン・アスカ大尉が厄祭MAを斬り捨てれば、人々に勇気を与えられます。これは討ち滅ぼせる敵なんだ、使ってはいけない兵器なんだ、って」と語り、得た力で何を積み重ねるか、何を与えられるのか。果たして、それは誰かのための力であるのか。
かつてラスタル様に咎められた私の不出来が、ようやくわかったような気がした。
作戦は慎重を期して行われ、アスカ大尉の機体が後一歩の所まで近づけた時は私すらも息を吐いた。
そして、一度距離を置いて上空に舞い上がり、一気に下降しながら対艦刀を叩きつけると、流石にMAが気付きのたうち回ったが、陸に上げられた魚の様に動かなくなったのを確認出来ると一斉に歓声が上がった。
私も口には出さなかったが感激していた。
この記録史上初の成果は、間違い無くコンパスの評価を大きく上げる事になるだろう。

そろそろラスタル様に一通、報告も兼ねて手紙をだしてみてもいいかもしれない。

✖︎月□日
約二週間ぶりかもしれない。
突然の凶報に耳と目を疑った。
戦後の復興モデルケースにもなっていたベルリンの街がテロリストの襲撃を受け、壊滅的被害を受けた。
映像にはあらゆる勢力のMSが、MWが、有人MAが、デストロイが、アークエンジェルの同型戦艦が、
そして、火星のとは別タイプの厄祭のMAがプルーマを引き連れながら、街を蹂躙している映像がビルのモニターに臨時映像で写されていた。
そして、その地獄を作り上げた組織の名が
あの馬鹿殿 イオク・クジャンの顔と声で挙げられた。

『神聖ギャラルホルン』

奴は、コーディネーターだけで無く、血縁を継いだハーフコーディネーターや融和思想を掲げるナチュラル達すらも標的にすると言い始めた。
更に、無礼にも程が有る声明を残した。

『神聖ギャラルホルン、我々は人類の正当後継者である!
遡ればその昔、遺伝子治療でもって人類の遺伝子に手を加えたことが過ちの発端であった。
目的が医療なれど、開けてしまった禁忌の扉は人類を歪ませるには十分すぎた!
血のバレンタインという誅罰でもコーディネイターは罪を自覚せず、ナチュラルもまた人類の領分を自覚せずに禁忌の領域へ手を伸ばすことを止めておらん!』

『ゆえに、私はコーディネイターのみならず、ナチュラルの遺伝子操作跡がある者をも罰を下す、例外はない』

『特に甚だ許しがたいのは、遺伝子の化物どもに加えて宇宙ネズミとも手を結ばんとするオーブ首長国である!
化物が振るう、野蛮なる力で以て統治するその政に徳なし!
だがカガリ・ユラ・アスハ、私は貴様に慈悲を与えよう!』

『ボードウィン家の令嬢とラスタル・エリオン公を解放するとともに、狂戦士キラ・ヤマトと裏切りのファリドの首を差し出し、
我が前に頭を垂れるのならば、貴様の賛同者に手はかけん』

『しかし私の言葉を聞いてなお歯向かうのならば!
私は世界中に蔓延るオーブの賛同者とハーフコーディネイターに、命で以て償わせる!!』
『このベルリンのように!!』

『むろん私も鬼でもなければ神でもない。
私が従えるであろう厄祭の脅威を、自然あるがままに平定することができるというのなら。
私は喜んでこの罪多き責務を、偉大なる英雄に託し、世を捨てることを誓おう』

『どうか人類が、賢明な選択をすることを望む』

此れを聞いた私はその場に呆け立っていたっていただろう。
何を言っているんだこいつは、と間違い無く思っていただろう。
わたしが正気を戻したのは、隊長からの緊急通信であった。
すぐに市内からオーブ基地に停泊しているミレニアムに戻ると皆、表情が強張っていた。
当然で有る。
総裁や隊長からの指示はベルリンへの急行と被害確認、生き残りの捜索等、多岐に渡った。
流石に今までコンパスを嫌っていたユーラシアも今回は特例で顔パスで領内に我々を入れた。
現場は凄惨の一言であり、殆ど瓦礫の山が広がるばかりで街があった形跡は僅かしか確認できなかった。
生き残りも瓦礫の山の下の下から、やっと発見した数十人程度しか確認できなかった。

結果判明したのは、死者行方不明者898人、負傷者3944人。建物全半壊43パーセント、うち復興財源による新規建築物77パーセント。

思わず目を塞ぎたくなる被害だった。生き残った人々はこれから長くこの被害に苦しむことになってしまった。
別働隊に引き継ぎを行った後、我々コンパスは大西洋連邦のドックにて新型船 新アークエンジェル級一番艦を譲渡される事になった。
どうやら中継に移っていた船は奴等に我々に引き渡し予定だった物らしく、引き渡し前に強奪された物の様で代わりに建造完了した此方を渡してくれるらしい。
足となる船が増えれば、奴らをいち早く止めれると、感じた私も他のメンバー達も気合いを入れ直した。

ちなみに船の名前は奴らの「ケルビム」への皮肉を込めて、敢えて悪魔の名前の「ルシフェル」が付けられた。

□月○日
また日記を書く暇が作れなかった。
あれからも、馬鹿が率いるテロリスト共との戦いはつづいている。
まさか、間をおかずにオーブに攻めて来るとは誰も思わなかったが、何とか被害は最小限に留めれたのは幸運だった。
やはり、奴らは嘗て連合に所属していた科学者を引き込んでおり、それらの技術協力によって厄祭のMA共を使役しているらしくそれらが奴らの脅威度を跳ね上げていた。
その他の、主に中立国やプラントとの関係の深い国だけで無く基地や街、施設などが標的になりその防衛や迎撃の為、何度もスクランブルが発令されまくっていた。
何とか、奴らを相手取れているが少し前に民間のマスドライバーが奴らに制圧されてしまい、抵抗を見せた組織や人物が殲滅されてしまったらしい。更に奴らはジャンク屋組合すらも標的に収め、マークを掲げている者達全員に無差別降伏を呼びかけ降伏した者はそのまま組織に組み込まれ、抵抗を見せた者達はその場で見せしめとして殲滅されているようだ。
噂では、逃げ切った者もいるらしいが時間の問題だろう。

□月✖︎日
今日我々は地上本部ヴィーンゴールヴに集まっていた。
神聖ギャラルホルンの本拠地が、嘗て連合軍の本拠地であったアラスカに存在すると言う情報が入って来た様だ。
信憑性は半々らしく不明瞭だが現在我々は、拠点の割り出しに苦労しているのが現状であり僅かな可能性があるなら確かめなければならない。
しかし、潜入エージェント達の潜入調査によると他の場所にも存在しているらしくどちらが本物かはわからなかった様だ。
鉄華団のオルガ団長を中心にした部隊は現在、アメノハシラの防衛に回されており戦力を分けるのは危険だと分かる。
オーブや本部にも戦力は残しておかなくてはならない。
本部には私と石動上官が残る事になり、副団長の部隊がオーブに残った。
マクギリス隊長はアラスカへの可能性に賭けて、大西洋連邦に許可を取り降下作戦を行う事になった。
マクギリス隊長を心配しながら見送るアルミリア総裁が、悲しそうなお顔をしていたのは気のせいでは無いだろう。







□月△日
やっと日誌とペンを取る気になれた。
私と石動上官以外のメンバーが出発してから四日目に、テイワズの関係者が本部へ物資輸送の為にやって来た。
最近、テイワズや代表であるマクマードの話は鉄華団から良く聞いており更に傘下組織の兄弟分でもあるタービンズの"名瀬"と言う男が関係者を連れて鉄華団の様子を見に来たついでに、鉄華島の温泉に浸かりに来た事もあったぐらいであり、アスハ代表も個人的ではあるが彼らに信頼を寄せており、私も、コンパスのみなさんも信頼しておりました。
しかし、彼ら全員がそうでは無い事に、あの時の私も石動上官も、気の緩みが合ったのか、気づく事ができなかった。

暫くすると、突然レーザー通信や光学探知、通信などの本部の機能の殆どが遮断されてしまった。
テイワズの、否、
神聖ギャラルホルンのスパイになっていたジャスレイ・ドノミコロフの仕業であった。
本部の機能が止まってすぐに襲撃が始まった。
私も石動上官も緊急出撃して迎撃を始めたものの、奇襲にしてはかなりの兵力でのあり目的にすぐ察しがついた。
コイツらの目的はアルミリア総裁だと言う事に。
援軍や救援を断たれてしまいながらも、何とか持ち直しを図っていると、アイツが現れたのだ。

神聖ギャラルホルン首領 イオク・クジャンが、
ガンダム ・ゼパルに搭乗しながら、私の前に姿を現したのだ。

私はラスタル様に泥を塗る様な行為を大声で叱咤すると、
奴は、
「猿女ごときが何をぬかすか!私は貴様のような戦う才はない、だからこうして戦うべき敵・救うべき存在を将として見定めているのだ、ラスタル様のように!!貴様こそマクギリスとキラ・ヤマトに尻尾を振るなど見下げ果てたぞ!!才あれど貴様のような猿女はいらん、そんな貴様らを我が同胞たちと共に成敗し、コンパスに利用されておられるアルミリア様を救い出しに来たのだ!!」
と、勘違いも甚だしい発言をかまして来たのだ。
この時の私は、きっと頭に血が上っており判断力が鈍っていただろう。
私の最速の一撃を奴は、
避け、カウンターを返してきたのだ。
信じられなかった。
再び攻撃を行うがまた回避され、それを何回も繰り返し、
私の機体だけがボロボロになっていった。
奴は"先人達の加護を受けている"と言っており、最初は訳が分からなかったが、奴が剣を掲げると現れた奴らを見て、
合点がいった。
現れたのは、厄祭のMA達だったのだから。しかも、二体もだ。
MAに関する報告書に「上位個体」という存在があり、其れらがMAを操り、嘗ての厄祭戦の原因だと言われているらしい。
つまりは、その上位個体のAIがゼパルに搭載されており、其れを通して奴はMA達を操っており、ゼパルをそのAIが動かしているからこそのあの強さなのだ。
石動上官はインパルスの背にデスティニーのシルエットを背負った様な機体と、同じ様な姿をした複数の機体に追い詰められており絶対絶滅だった。
せめてアルミリア総裁だけでも死守せん。と、考えていたら、
アルミリア総裁の声で"今すぐに攻撃を止めれば、神聖ギャラルホルンに降伏する"と、
本部放送が流れたのだ。
理由はすぐに判った。我々を守る為に、その身を奴等に差し出すつもりなのだと。私は何度も引き留めましたが、決意を固められたアルミリア総裁はそのまま奴等に連れて行かれてしまった。
気がつくと、本部の医務室に寝かされていた。如何やら私はコックピットで3日間も気を失っていたらしい。
私は任務を果たせなかった悔しさや奴等への怒りなどの感情で枕を濡らすしかできなかった。
しかし、泣いている暇など無いと判っている。
現在、総裁の行方を調査中の様で居場所が分かり次第、奪還作戦を立案中らしい。
必ずアイツをブン殴らなければ、私の気は収まりそうには無い。

□月◯日
アルミリア総裁の居場所が分かった今日に何と、ラスタル様が本部にやってきたのだ。
ラスタル様も誘拐事件を聞いて今回だけ、イオクの説得と戦闘指揮の為に我々に協力してくれる様だ。
しかし、別件が本音の様で何とエリオン家のガンダム ・フレームであるガンダム ・ハーゲンティを私に託しにきてくださったのだ。
ラスタル様はやはり、イオクに対しあの様な扱いをしていた事が今回の騒動に繋がった事を誰よりも悔やんでおられていた。
こんな事をラスタル様に思いたくは無いが、確かにそうかもしれない。
しかし、だからといってラスタル様が悔やまれても如何にもならないのも事実であり、今は敵の手に落ちながらも平和と融和を世界に訴え、決して諦めてはいないアルミリア総裁を1秒でも早く救い出す事が最善なのだ。
其れを聞いたラスタル様は、嘗ての様な凛々しいお顔になると私を連れて地下祭壇へ向かうとハーゲンティだけで無く、マクギリス隊長の指示により差し押さえられていたファルク家のガミジンをも持ち出されており、MAとの戦闘経験があり、アメノハシラの防衛にて活躍した鉄華団の団員のライド・マックスがパイロットを務める様だ。
コンパスや有志で集まった戦力だけで無く、今回の責任を誰よりも感じているテイワズ勢力も参加する大規模作戦になる様だ。私もその時が来るまでハーゲンティの調整を全力で行う。

あのバカをぶちのめし、アルミリア総裁を救い出し、あの阿呆に自分が何をしているのかわからせる為にも、絶対に今度は負けられない戦いなのだから。
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