その傷の意味


・サンジ×ゾロ♀(中身はほぼ原作)
・事後描写あり
・妄想全開
以上が大丈夫な方、このままどうぞ
















サニー号の大浴場に水音が響く
窓に広がる景色は夜明け前の空と海
普段だったら行為の余韻にひたりながらゆっくりするところなんだろうが、今は目の前でシャワーを浴びる男のことで頭がいっぱいだった

同じ船の仲間であり、喧嘩相手で恋人でもあるグルまゆ男との二年振りの行為は、実に濃厚なものだった
互いの心身を絡ませ合い、激しく乱れ、共に果てる
極限まで高まった熱と想いは、短いようで長かった空白を埋めるのに十分過ぎる程だった
おかげで最後はほぼ同時気絶みたいな終わり方な上、おれにいたっては意識が戻った時には既に湯船の中だった
とりあえず中のモノを掻き出して汗を流し、その後入れ替わりでコックが湯船から出て体を洗った
アイツの身体の跡に気が付いたのは、その時だった

決して狭くはないアイツの背中にこれでもかと刻まれた、赤い爪の食い込み跡や引っ掻き傷
腰には打撲跡のようなものまである
きっと全部おれが付けたものなんだろう
そう思うと、どうしようもなく申し訳ない気持ちが込み上げてきた

その時、何かが頭に触れてきた
「あっ!?」
見上げるとコックがこちらを見ながら頭を撫で、「何ボーッとしてんだ」と声をかけてきた
「別に、なんもねェよ」
コックは「そうか?」なんて言いながら湯船に入り、おれのすぐ後ろに座る
「さっきから保けた顔してこっち見てっから、まだ足りねェのかと思ったよ。悪ィが、今日はもう店じまいだ」
コックはそう言っておれの胸と腰に触れる
その労るような体温は、胸の内に暖かいざわめきを与える
「この程度で動けなくなる程ヤワな鍛え方はしてねェ」
「おれに背負われて風呂場まできた奴が何言ってんだか」
相変わらず口は悪いが、肌をさする手はどこまでも優しい
それがなんだか嬉しくて、同時にさっきの事で余計に申し訳なくなってきた
「うっせぇ。ただ、その…」
「どうした?」
「その………悪かった」
なんとか絞り出した一言が、大浴場に響いた

「え、あの、なんて?」
背中越しに困惑した声が聞こえてくる
その声になんとか答えようと口を開いた
「あー、その、背中。悪かったな…」
暫しの沈黙、聞こえるのはシャワーからの水滴音
それを破ったのはアイツが「プッ」と吹き出す声だった
「何笑ってんだよ」
クックッと笑うコックに軽く睨みをやると、「悪ィ悪ィ」と返ってくる
「いやー随分深刻な声だから何かと思ったが、そういうことかよ。おれの事心配してくれるなんて、マリモちゃんはかわいいなァ」
ニヤニヤ笑いながら頬をつつく指を「うるせェ」と一喝して湯の中に戻す
「おれには見えねェが、かなりすごいことになってるんだろうな。けど、気にすんな。この傷はまァ、男の勲章みてェなモンだ」
「そういうもんか?」と尋ねるおれに、コックは「そういうもんだ」と返し、二年前より多少は長くなった髪を梳いてくる
「まァどうしても気になるなら…」
そう言うとコックはおれを引き寄せると、
「ほら、これでいっしょだ」
背中に触れるか触れないかのキスを落とし始めた

「んっ…」
転々と落とされる淡い熱と、壊れ物でも扱うかのように撫でる指先
ゆっくりと与えられる感覚に、自然と身体がざわめいていく
それと同時に、腰のあたりに固いものが触れる感覚があった
「今日は、店じまいしたんじゃねェのか?」
「そのつもりだったが、レディにかわいい事言われたもんでな。延長営業だ」
そう言って笑うアイツに振り向かせられ、閉じた左眼にも唇が触れる
それだけで下腹が疼き、体温が上がる
「延長営業だってんなら、しっかり満足させろよ」
「そっちの方がな。まっ、負担はかけねェから安心しろ」
おれが背中に手を回すと、コックの両手が頬を覆う
そしておれ達は唇を重ね、深く深く吸い合った
お知らせ
実務でも趣味でも役に立つ多機能Webツールサイト【無限ツールズ】で、日常をちょっと便利にしちゃいましょう!
無限ツールズ

 
writening