解決アスラン


●伝手

カガリ「久しぶりだな、ふたりとも。オーブへようこそ。アスランから聞いたぞ。閲覧の件、できるだけ意に沿う形で取り計らう。担当者が外にいるから細かな点は彼らに話してくれ」

イザーク「ありがとうございます。お忙しい中、面会のお時間まで頂き、なんとお礼を言えば良いのか。心より感謝申し上げます」
ディアッカ「久しぶりー。元気そうじゃん」

カガリ「そんなこと気にするな。オーブの文化に興味を持って貰えるのは私も嬉しい。ありがとう。ディアッカも元気そうだな!」

イザーク「身に余るお言葉です。…ところで、アスランの事について何かご存知ではありませんか?…この写真集もですが今の彼の言動は以前と異なるように思います。理由を伺いたい」

カガリ「やっぱりこの時期の突然の訪問はそっちが目的か?」

イザーク「半分程は」

カガリ「まぁそうだよな。あいつがプラントにも送ると言い出した時からこうなる予感はしてたんだ。混乱させて悪かった。実はな…私も詳しくは知らないんだが…開発薬を飲んだらしい」

イザーク「開発薬?!…効能は?」

カガリ「自分に惚れる薬らしい」

イザーク「…は?」

カガリ「今のアスランは自分の事が大好きで、簡単に言うならナルシストになってしまった」

イザーク「…あいつは何をやっているんだ…」

カガリ「私もそう思う。まぁ効果は一時的だというし後遺症もないと言うから、心配はいらないはずなんだ。
…キラやラクスも似たようなのを飲んでたし、しかもアスランと違ってあの二人はわざとなんだぞ。皆、何やってるんだか」

イザーク「…。今のあいつは貴方と生きるつもりのようですが、…貴方の了承は得ているのか?」

ディアッカ「おい、イザーク」

イザーク「大事なことだ。一時的とはいえ事実でないのに奴がずっとあの調子だとすれば放置は得策ではない。確実に面倒なことになる」

ディアッカ「まぁそれはなぁ」

カガリ「あいつが言っていることを全て把握してるわけではないが…一応事実というか。まぁあいつが元に戻った時にどう言うかは分からないんだが…」

イザーク「…あいつを伴侶になさるおつもりが?」

カガリ「その、あいつにプロポーズされてさ。…あいつには自由に生きてほしいと思っていたんだが…約束してしまった。色々問題もあるが…もう離れようとは思わない」
イザーク「…なるほど。…ご婚約おめでとうございます」
ディアッカ「おめでとう!いやー、アスランが結婚かぁ」
カガリ「ま、まだ婚約も正式ではないし、キラやラクスもにも話してないんだ。せめてあいつらが元に戻ってからがいいと思って…」
イザーク「…あまり無責任なことも言えんがこんな出鱈目な世の中だ。ゴリ押しすれば意外に何とかなるものも多い」
ディアッカ「そうだぜ、それにここまで漕ぎ着けてやっぱやめるーなんて、あいつが許すとは思わねーよ」
カガリ「うん…ありがとう」


●自信

アスラン「カガリ!」

カガリ「アスラン!?お前大丈夫か???変な薬飲んで一時的に様子がおかしいと聞いたが…(忙しくて見に行けなかったが元気そうで良かった)」

アスラン「問題ない。伝えたいことがあって君の仕事が終わるのを待っていた。俺をもう一度君のそばに置いてくれ。宇宙一君を愛する俺が、必ず君を幸せにする。約束する。俺は君の役に立てる!」

カガリ「!?(…大丈夫か?この薬。自分に惚れたと聞いたが私に惚れたの間違いか?…これは病室に戻したほうが…)またその話か?その件は断っただろう。お前は私から離れて自由に生きろ」

アスラン「何者にも捕らわれない完璧な俺が自由に生きるのは当然だが、それは君の側でなくてはならない」

カガリ「(あ…やっぱり自分に惚れたで合ってる?)…お前、薬でおかしくなってるぞ。」

アスラン「…分かった。あの指輪はどうしたんだ?返してくれ」
カガリ「え?あれは…(こんな状態のアスランと?もっとちゃんとした別れを…)」
アスラン「持っているんだろう?返してくれ」
カガリ「(いや、これで良いんだ)…分かった。今までありがとう。すまなかっ…ちょっ…お、おい!!(左手の薬指!?)」
アスラン「これでまた、君のものだ」
カガリ「いや…お前」
アスラン「デザインが気に入らないのであれば他のものも用意する。渡し方が不満なら花束も持ってくる。二人でディナーにも行こう。…だがそれは君のものだ。ずっと持っていてほしい」
カガリ「お前、私の話を聞いていたか?」
アスラン「ああ」
カガリ「それなら!?」
アスラン「俺の話を聞いていないのは君だ!いくら俺が輝いても!いくら俺が素晴らしい男でも!君が隣にいないならそれはただ虚しいだけなんだ!!何故それが分からないんだ!!」
カガリ「気のせいだろ。そんなの(大丈夫か?こいつ…)」
アスラン「そんな訳ない!俺がそう思うんだ。勘違いなんてあるわけがない!!俺は君の隣で生きる。絶対に離れない。君は俺のものだ」
カガリ「…(どうしたら…)」
アスラン「だいたい、カガリ。君は俺の何が不満なんだ?どこが気に入らない?」
カガリ「どこって…」
アスラン「俺より君を愛していて、俺より強くて美しくて優秀で、俺より君が側に置きたい男が他にいるのか?」
カガリ「…っ!お前に言う必要は無いだろ!」
アスラン「いないんだな。いるわけがない。そして今後も現れない。俺より君に相応しい奴などいるものか!」
カガリ「適当なことを言うな!」
アスラン「さっきから適当なことを言っているのはカガリの方だ!今俺が言った言葉に間違いなど1つもない!!」
カガリ「…とにかく医務室へいけ。それが嫌ならせめて部屋で休め。な?落ち着いたら、そしたらまた話をしよう」
アスラン「君はどうあっても薬のせいにしたいようだが、薬なんて本当に関係ない!!…ずっと言いたかった事だ。ずっと言いたくて、でも言えなくて、とても苦しかった。今、やっと伝えられたんだ!それなのに、どうしてカガリはそんなことばかり言うんだっ!?」
カガリ「どうしてって…だって…」
アスラン「何だ?」
カガリ「…ごめん。…自信が無くて」
アスラン「なんの?」
カガリ「お前を幸せにする自信…」
アスラン「何故君といて俺が幸せじゃないと思うんだ?」
カガリ「だって…オーブが…私はオーブを1番に考えなくてはならなくて、お前を優先できない」
アスラン「オーブは君が守った。これからも君が望むならそうすればいい。そして…今度こそ君は俺が守る」
カガリ「アスラン…でも!」
アスラン「俺を蔑ろにする予定があるのか?まさかこんなに良い男の俺を差し置いて別の婚約の話が?」
カガリ「今は無いしもうするつもりも無いけど…私は忙しいし公にも当分は出来ないし…何が起こるか分からないし」
アスラン「そんな事は些細なことだ。そもそもまだ起こってもいないことを理由に振られるなんて納得できるわけがない。君がずっと俺と一緒にいると言ってくれさえすれば、少なくとも今、この瞬間から俺は幸せになれる」

カガリ「でも…お前には…もっと良い人が現れると思う」
アスラン「そんな可能性はゼロに等しい」
カガリ「分からないだろ!」
アスラン「なら、カガリの言う良い人とはどういう人物だ?」
カガリ「優しくて」
アスラン「カガリのことだな」
カガリ「ずっと側にいてくれて」
アスラン「君はいつも俺の側にいる」
カガリ「もっと可愛くて」
アスラン「カガリはとても可愛いと思う」
カガリ「?何言ってるんだ?もっとドレスやスカートが似合う愛らしい感じの…髪の毛も長くて…オシャレで…ラ、ラクスや…メイリンみたいな」
アスラン「はぁ?ラクスとのことは君はよく知ってるいるだろう?親愛ではあっても恋愛ではない。彼女に必要なのは俺ではないし、俺に必要なのも彼女ではない。メイリンも感謝はしているがそれだけだ。俺は君が良い。…それにカガリはドレスも似合っていたぞ。とても愛らしかった」
カガリ「は?」
アスラン「髪を伸ばしても似合うだろう。今の髪型や服装も似合っているが、何を着ても似合うのだから好きな髪型をして好きな服を着ればいい。動きやすい服が好きなのだと思っていたが本当はドレスも着たいのか?」
カガリ「いや、着たかった訳じゃない。私には似合わないと思って(私は何言ってるんだろう)」

アスラン「だいたい君は宇宙一素晴らしい男である俺が愛する女性だ。女性として他の誰かに劣るわけが無いだろう。おかしな事を言うのはやめるんだ」
カガリ「はぁ?女らしいことなんて1つも出来ないぞ」
アスラン「そうだとしてそれで困ったことなんて無いだろ?ならいいじゃないか。安心しろ。君は宇宙一のイイ女だ。俺が保証する」
カガリ「!?…お前…趣味が悪いにも程があるぞ?」
アスラン「カガリは自分の事が分かってないんじゃないか?君は完璧な俺が愛する最高の女性なのだからもっと自信を持つべきだ」
カガリ「…お前が普通に言うから私も普通にしようと思ってるけど!…さっきからお前のセリフはかなり恥ずかしいからな!」
アスラン「俺は別に恥ずかしくはない」
カガリ「聞いてるこっちが恥ずかしいんだよ!」
アスラン「でも全部本当の事だ。間違いない、君が一番だ」
カガリ「…ああ、そうかよ」
アスラン「ああ、そうだ」
カガリ「(…私、こいつから見たらイイ女なのか。そんなこと誰にも言われたこと無かったな…)…薬が切れたら今日のこと、後悔するんじゃないか?」
アスラン「君とここで別れたら後悔するだろう。だがさっきも言ったが全て前から思っていた事だ。話せたのは薬の影響かも知れない。だが内容に薬は関係ない」
カガリ「…そっか」


アスラン「それで?」
カガリ「え?」
アスラン「良い返事が欲しい」
カガリ「そ…そうだな……も、もう一度言ってみてくれないか?(私は何言ってるんだ!?まずいぞ流されてる!でも…っ)」
アスラン「何度でも言う。今すぐじゃなくていい。必ず幸せにするから俺と結婚すると約束してくれ!!」
カガリ「…うん(い、良いよな?)。…約束する。私はお前と結婚したいっ!」
アスラン「カガリ!!俺は君の婚約者で夫だ!!!!!」


カガリ「なぁ」
アスラン「…」
カガリ「なぁってば」
アスラン「なんだ?」
カガリ「あの、そろそろ離してくれないか?」
アスラン「何故?」
カガリ「何故って…もう夜の8時だ。夕食もまだだし、流石に帰らないと」
アスラン「そうだな」
カガリ「そうだなって…そうだ!今日はうちで夕食にしよう。婚約内定記念日だ!お前が使ってた部屋はそのままにしてあるし、泊まっていけばいい。だから帰るぞ、な?」

アスラン「婚約…か」
カガリ「…何だよ?お前がさっき言ったんだろ?」
アスラン「ああ。ずっとそれが欲しかった。今、とても幸せだ。」
カガリ「…うん、私も幸せだ」


●墓前

ディアッカ「あれ?おまえその格好、今日何かあんの?」
イザーク「ああ、この前のオーブでの結果をまとめて発表したら少し話題になってな。…もしかするといくつか賞も取れるかもしれん。この後、ちょっとした集まりがある」
ディアッカ「おーーー流石イザークやるじゃん!」
イザーク「まだ分からんがな」
ディアッカ「これもあいつのおかげってやつになるのかねー?」
イザーク「疲れるから奴を話題に出すな」
ディアッカ「いや出すなって…今日の報告のメインじゃん。ミゲルとラスティは一日中笑い転げそうだな。ニコルは…腰抜かすんじゃない?」
イザーク「煩くてかなわん…今度ばかりはニコルでも俺に味方するだろう」
ディアッカ「でも振り返ってみるとさー、あいつの写真集のおかげでオーブにあんなのあるって分かったしー?姫さんとのパイプも太くなったしー?おまえ個人としても中佐としてもジュール家としても万々歳ってやつー?」
イザーク「貴様もだ。それにあそこにいた研究員の奥方は日舞の実力者だろ?俺でさえ名前を知ってるくらいだ。当然、繋いでもらったのだろうが」
ディアッカ「あ、気づいてた?凄いんだぜ?」
イザーク「お前が女に会っていた何度目かの打ち合わせの時に話題になった。…それにしても…全く、本っ当に人騒がせなやつだ」
ディアッカ「確かになぁ。ミゲルが面白い奴の代表って感じだったけどアスランは別方向にぶっ飛んでるよなー昔は如何にも優等生キャラで面白みのない奴って思ってたんだけど…長生きしてみるのも良いかもな」
イザーク「お前は知らんが俺は早死にするつもりは元からない」
ディアッカ「俺だってねーよ」

ディアッカ「もうこんな時間か。また来ようぜ」
イザーク「当然だ。俺たちはこいつらの分まで生きねばならんのだからな」
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