スリープレス・シープ


――あなたが来なければ、彼らは、私たちは、この星から永遠に飛び立つことはできませんから。


<比率>
0:0:2

<時間>
20~30分


<登場人物>


ミト
【ミト(ミト)】不問
「静かな海の星」ユーラでただ一軒だけのコーヒー店の店主。

オリ
【オリ(オリ)】不問
星々を空中バイクで巡る流星郵便局の配達員。


<利用規約>
https://writening.net/page?bmsmZi


------------以下台本—----------


―ミトの住む「静かな海の星」ユーラ

(ミト・オリの店の呼び鈴を鳴らす)
(リンゴーン、と古めかしい、仰々しい鐘の音が鳴る)

ミト:どうぞー。

(オリ、扉を開けて入ってくる)

オリ:こんばんは。ものすごい音ですね。

ミト:ああ、入口の。

オリ:どこで見つけてきたんですか、こんな音のする鐘。

ミト:流れてきたんですよ。

オリ:流れてきた?

ミト:ええ。海の向こうから。

オリ:ということは、かつてはこの星のどこかに、こんな鐘をつけた建物があったってことになりますね。一体どんな建物だったんでしょうね。

ミト:どうでしょう。もしかしたら、宇宙(そら)で爆発したよその船の落とし物かもしれませんし。

オリ:ああ、確かに。でもそうだとしたら、あんまり縁起のいいものではなさそうですが。

ミト:どうだっていいんですよ、そんなことは。私はこの音が好きだから。

オリ:そうですか。

ミト:うっかり居眠りをしていても、確実に目が覚めますし。

(オリ、くすりと笑う)

オリ:それもそうですね。

ミト:そうだ、大事なことを言い忘れていました。

オリ:はい?

ミト:いらっしゃいませ。

オリ:ああ、そうか。ここはコーヒー店でしたっけ。

ミト:はい、「静かな海の星」ユーラにただ一軒だけの。

オリ:一軒だけ?

ミト:この星の陸地はそんなに広くありませんから。どの店も全て、この星にただ一軒だけの店です。

オリ:競争がなくていいですね。

ミト:もともと、マイペースで、必要以上に他者と関わることなく、好き勝手やっているような人間ばかりですからね。この星は。

オリ:そういうのを平和っていうんですよ、きっと。

ミト:おや、なにやら含みのある言い方ですね。

オリ:それがなんにも含んでなくて。

ミト:それはそれで、平和です。

オリ:そうでしょうか。

ミト:ええ、多分。あ、なにも含んではいませんよ。

(ミト・オリ、ふふと微笑み合う)
(オリ、マフラーを外してカウンター席に向かう)

オリ:それじゃあせっかくだから、店主さん。コーヒーを淹れていただけますか。

ミト:はい、もちろん。

(オリ、着席する)

オリ:おすすめは?

ミト:当店は星砂(ほしずな)コーヒーのみしか置いておりませんので、おすすめも星砂コーヒーです。

オリ:星砂コーヒーですか。初めて聞きました。

ミト:そうでしょう?なんたって私のオリジナルですから。

オリ:へえ、それはすごい。

ミト:ある日浜辺を散歩していたら、この星の砂からコーヒーのような香りがすることに気付きまして。それから研究に研究を重ね、焙煎に成功したんです。

(ミト、コーヒーを淹れ始める)

オリ:砂からコーヒーを?一体どうやって?

ミト:それは、企業秘密です。

オリ:ではせめて、コーヒーを淹れる手元を見ていてもいいですか?

ミト:どうぞ。

(サイフォンがこぽこぽと音を立てる)

オリ:すごいですね。コーヒーのなかに星が瞬いている。

ミト:綺麗でしょう?砂に含まれる微細な粒子が熱で反応して、こうしてコーヒーのなかで煌めくんです。

オリ:だから、星砂コーヒー。

ミト:ええ。これ以上の名前はないと思いまして。

(ミト、そっとカップをオリの前に置く)

ミト:お待たせしました。

(オリ、ゆっくりとコーヒーを啜る)

オリ:少し、苦みが強いですね。

ミト:そうかもしれません。

オリ:でも、おいしい。

ミト:それはよかった。

オリ:夜空ごと星を飲んでいるようですね。

ミト:ええ、ばちあたりなことに。 だから少し苦いのかも、なんて。

オリ:いいですね。現実を忘れられる。あくまで私の主観ですが、喫茶店はそういう空間であってほしい。

ミト:奇遇ですね、私もです。

(しばしの間)

オリ:そもそも私は、客のつもりじゃなかったんですよ。

ミト:ええ、そうでしょうね。

オリ:あれ、バレていましたか。

ミト:先ほど「せっかくだからコーヒーを」と仰られたでしょう?

オリ:ああ……、なるほど。

ミト:「せっかくだからコーヒーを」というのは、「ほかに用事があったのだけれど、ここがコーヒー店ならば、コーヒーの一杯でも飲まないときまりが悪い」ということかな、と。

オリ:すこし惜しいです。

ミト:おや。

オリ:きまりが悪い、のではなく、この店に来る前からなんとなくコーヒーが飲みたい気分だったんです。

ミト:そうでしたか。

オリ:夜中ですしね。眠気覚ましが欲しいなあって。

ミト:なるほど。

オリ:バイクで宙(そら)を飛んでいると、寒くて眠くなるどころではないはずなんですけどね。今日はどうにも眠くて眠くて。居眠りしてバイクから落ちるわけにもいきませんし。

ミト:それは、たしかに。

オリ:さらに言うと、この店に入った瞬間からコーヒーのいい香りがしていたので、もういてもたってもいられなくなってしまったものの、がっつくのも恥ずかしいので、体裁を保つために「せっかくだから」なんてもったいぶってみた、というわけです。

(ミト、くすりと笑う)

ミト:こんな小さな店で随分な格好のつけようですね。

オリ:店主さんに、ではなく、自分に格好つけたんですよ。私は見栄っ張りなもので。

ミト:なるほど。

オリ:すみません。

ミト:何を謝ることが?

オリ:私の言い方が悪くて、気分を害してしまったのかな、と。

ミト:いいえ全然。いいじゃないですか、自分に格好つけるのって。

オリ:そうですか?

ミト:自分がそれを格好いいと思うのなら、なんだっていいと思いますよ、私は。

オリ:じゃあやっぱりだめですね。今思い返しても、私のあの物言いは、ちっとも格好よく思えない。

ミト:ありますよね、そういうこと。

オリ:むしろそんなことばっかりです。

ミト:でも私には、あなたが「せっかくだからコーヒーを」と言った時の姿が格好よく見えましたよ。

オリ:へえ。

ミト:髪が。

オリ:髪?

ミト:「せっかくだから」――あなたがそう言いながら首をかしげて、その長いマフラーをさっと外した時に、中にしまっていた、これまた長い髪がふわぁっとこぼれたのがね、格好いいなって。

オリ:……

ミト:白銀(しろがね)色が店の白熱灯の明かりを受けて、ほらちょうど、このサイフォンの中の煌めきのようで。

オリ:あの。

ミト:はい。

オリ:照れくさいんで、その辺にしておいてください。

ミト:わかりました。

(しばしの間)

オリ:私は、流星郵便局の配達員です。

ミト:そうだと思っていました。

オリ:何もかもお見通しですか。かなわないな。

ミト:バイクの音とその大きな鞄で、誰でも分かりますよ。もっとも、私のところに配達員さんがやってくるのは初めてですが。

オリ:星間(せいかん)ネットワークの発達した今、手紙のやり取りなんて時代遅れですよね。

ミト:……

(オリ、鞄から一通の手紙を出す)

オリ:こちらがお手紙です。すみません、最初にお渡しするはずが、居心地が良くてつい遅くなりました。どうぞ。

(ミト、手紙を受け取る)

ミト:……ここで開けても?

オリ:かまいません。受取人がどのタイミングで封を開けるかを決める権限なんて、私にはありませんから。

(ミト、封筒を開け、手紙を開く)
(しばしの間)

(ミト、小さく息を吐く)

ミト:……惑星管理局からでした。

オリ:……

ミト:この星は、まもなく「忘れられた星」になるそうですよ。

オリ:……そうですか。

ミト:そのお顔を見ると、この手紙の内容も大体予想されていたようですね。

オリ:最近は、「それ」を届ける仕事ばかりなので。

ミト:そうでしたか。

オリ:この時代に手紙を送る理由なんて、住民の大半がいなくなった「忘れられた星」に、ネットワークの停止を伝えるくらいです。

ミト:嫌な役をさせてしまいましたね。

オリ:そんなこと。

ミト:そろそろかな、と予想はしていたんです。

オリ:……

ミト:ここ数日で「「眠りの花」」が一気に増えたので。

オリ:上空からでも、花の多さは分かりました。

ミト:ガラス細工みたいな花だから、夜でもキラキラして目立ちますよね。

オリ:ええ。あと香りも。

ミト:あんな無機質な見た目なのに、しっかりと香って花粉を飛ばすんだから、本当に不可思議ですよね。

オリ:……あれは一体、どこから来たんでしょうね。あちこちの星で突然咲き始めたかと思えば、一気に広まって。

ミト:本当に。

オリ:もっとも、それが分かっていれば、私も今頃こんな仕事をせずにいられたのでしょうけど。

ミト:でも、大切なお仕事です。

オリ:……ええ。

ミト:そして、とても危険なお仕事です。

オリ:……

ミト:その花粉で人を眠りに誘う「「眠りの花」」が大量に咲く星の上空を飛ぶなんて、命がけじゃないですか。

オリ:ええ、まあ。ですから、今夜は配達先がここで良かったなと、心から思っています。

ミト:眠気覚ましのコーヒー、ですね。

オリ:はい。助かりました。

ミト:私とこの星砂コーヒーが誰かの救いになる日が来るなんて、思ってもみませんでした。光栄です。

オリ:……コーヒーのおかわりを、いただけますか。

ミト:ええ、もちろん。

(サイフォンがコポコポと音を立てる)
(しばしの間)

ミト:今夜はここで終わりですか?

オリ:え?

ミト:手紙の配達です。

オリ:ああ。ええ、はい。

ミト:この星での配達は、何件ほど?

オリ:ここだけです。

ミト:そうでしたか。

オリ:……

ミト:……

オリ:ひとつ、聞いてもいいですか。

ミト:なんでしょう。

オリ:その、壁に飾ってある絵です。

ミト:あはは、へたくそでしょう?

オリ:みんな、店主さんが描かれたんですか?

ミト:ええ。夜を持て余した時に星中を回ってスケッチしてきました。へたくそですが思い入れのあるものなので、記念に飾っているんです。

オリ:「眠りの花」、ですよね。

ミト:はい、この星のみんなです。

オリ:……

ミト:あのほんのり水色を帯びた小さな花の連なりは、水上図書館の司書さん、あっちの薄紅の大きな花は、行きつけの鉱石煙草のお店のマスターです。

オリ:少しずつ、色や形が違うんですね。

ミト:そうなんです。ご存じありませんでしたか。

オリ:「眠りの花」に近づく人なんて、そういませんよ。

ミト:ですかね。

オリ:少なくとも、私が今まで出会ってきた人たちのなかでは、あなたがはじめてです。

ミト:そうなんですか。

オリ:だって、体内に蓄積した花粉が一定量を超えると、「眠りの花」そのものになってしまう――そうでしょう?

ミト:ええ。

オリ:だから、いずれはその時が来るとしても、好き好んでそれを早めるようなことをする人は、あまりいないと思います。

ミト:それもそうかもしれませんね。

オリ:はい。

ミト:でも、いい土産話になるんじゃないですか?

オリ:え?

ミト:次に私のような人と話すことになった時の。

オリ:……そうかもしれません。

(ミト・オリ、壁の絵をぼんやりと眺める)
(しばしの間)

ミト:綺麗ですよね。みんな、とっても。

オリ:はい。

ミト:私の絵では伝え切れないのが、もどかしいです。

オリ:そんなことありませんよ。

ミト:水上図書館の司書さんは、すごく小柄な女性なんです。ですが、その頭には膨大な本の知識が詰まっていて、夜中にゴンドラで書架を巡る間じゅう、おすすめの本の話をしてくれました。私なんかは、たまについていけずに居眠りをしてしまっていましたけど。

オリ:ゴンドラで移動するんですか。

ミト:水上図書館ですから。

オリ:それは素敵ですね。

ミト:夜になると水の中を泳ぐ光虫(こうちゅう)の瞬きが彼女の眼鏡のレンズに反射して、とても綺麗でした。実のところ、私は本の話よりそれを見るのが好きで、あえて夜に通っていたものです。

オリ:なるほど。

ミト:彼女の花は、今も光虫の光を反射しながら、ゴンドラの上で揺れています。彼女が花になった後も、私は何度も彼女に会いに行きました。隣で眠ったことも、何度か。

オリ:鉱石煙草の店のマスターについても、聞いていいですか。

ミト:ああ……あの人はなんていうか、それはもう偏屈な人で。まあこの星に住む人間はみんな偏屈なところがあるんですけど、あの人は特にそうでした。煙草を選ばずにお喋りばかりしていると、かすれた声で「さっさと選んで帰れ」って。私なんて、よく叱られたものです。あの人、普段ほとんど口を開かないから、口を開くと、いつも声がかすれているんですよね。

オリ:なんだか、少し怖い感じの人ですね。

ミト:でも、帰るときには必ず、「またどうぞ」って言うんです。単なる口癖だったのかもしれませんけど。

オリ:それは本当に偏屈だ。

ミト:でも、煙草の味は絶品でした。あの人はずうっと、それこそずうっと「その時」が来るまで、新しい味の研究をしていました。私はあの人の作るラニットベリーの鉱石煙草が至高だと思っていて、何度もそう言ってきたのですが、それでも「まだ、まだ足りない」って言い続けて。

オリ:何に「足りな」かったんでしょうね。

ミト:さあ。でも、いつも彼が座っていた椅子に咲いた花を見る限り、きっと満足したんじゃないかな、って勝手に思っています。

オリ:大輪ですもんね。この薄紅は、ラニットベリーの色でしょうか。

ミト:そうだったらいいなあ。

オリ:……

ミト:……

オリ:今まで色んな星を回ってきましたが、この星の存在を、私は知りませんでした。

ミト:はずれの、小さな星ですからね。

オリ:でも、素敵なところです。

ミト:そうでしょう?「逃避者(とうひもの)の星」なんて言われていますけど、いい星なんですよ。

オリ:私の性には合っています。

ミト:それは良かった。

オリ:流星郵便局の配達員なんて、逃避者ばかりですから。

ミト:おや、そうなんですか。

オリ:今となってはですけど。

ミト:……

オリ:なんたって命がけ、ですから。

ミト:でも、大切なお仕事です。何度も言うようですが。

オリ:ありがとうございます。

ミト:何も知らされないまま「忘れられた星」になるのは、だって、少し悔しいですから。

オリ:悔しい。

ミト:少なくとも、私は。

オリ:そうですか。

ミト:でも、あなたのような配達員さんたちは、憶えていてくれるでしょう?星の末期(まつご)を。

オリ:……

ミト:私がいくらみんなをスケッチしたって、あなたが来なければ、彼らは、私たちは、この星から永遠に飛び立つことはできませんから。

オリ:……なるほど。

(しばしの間)
(オリ、小さく鼻歌を歌う)

ミト:その曲は?

オリ:私の故郷の古い歌です。「スリープレス・シープ」っていうんですけどね。何故か今、この曲がずうっと頭の中をぐるぐるしていて。それで、つい。

ミト:「スリープレス・シープ」――「眠れない羊」ですか。意味深ですねえ。

オリ:何の含みもありませんよ。

ミト:そうですか。

オリ:ええ。

ミト:でも、いい曲です。

オリ:データ、あるんで差し上げましょうか。

ミト:いいんですか?

オリ:もうすっかり覚えていますから。というか、しみついています。

ミト:素敵ですね。

オリ:素敵?

ミト:私はこの星をいい星だと思います。静かで淡々と、さざ波のように時が過ぎて。ただ、愛しているかと言われると、それはなんとなく違う気がするんです。でも、あなたの「しみついている」という言葉は、なんとなくしっくりきました。

オリ:そういわれると、なんだか私もそんな気がしてきました。

ミト:お、いいですね。

オリ:故郷に帰りたいかというと、そこまででもありません。でも、しみついているんです。確かに。星が私に、なのか、私が星に、なのかは分かりませんが。

ミト:そこはどうだっていい話だと思いますよ。

オリ:ええ、私もそう思います。

(ミト・オリ、くすりと笑う)
(しばしの間)

ミト:……もし明日のお仕事がこの星の近くなら、またうちに寄っていきませんか。

オリ:え?

ミト:実は明日の深夜、この星の数少ない名物の「星海(せいかい)鉄道」のラストランがあるんです。

オリ:「星海鉄道」ですか。

ミト:ご存じないですよね。

オリ:すみません。

ミト:全然。名物といっても、この星同様、あんまり知られてはいないんです。それに、随分前から車掌さんも運転士さんもいなくて、ずっと自動運行で。お客さんがちゃんと乗っているのかも怪しいくらいですから。

オリ:そうなんですね。

ミト:私はこれも大好きで。宙(そら)を汽笛を鳴らしながら走る列車が、いつか水上図書館で読んだ、どこかの星の古いお話に出てくる列車によく似ているんです。

オリ:へえ。

ミト:あなたと一緒に見届けてみたいなあ、なんて思って。たくさんの末期を見てきたあなたの真似ごとを、コーヒーを飲みながら、あなたとしてみたいなあ、って。

オリ:その本は……

ミト:はい。

オリ:その本は、まだ水上図書館にありますか。

ミト:ええ。司書の彼女がしつこくお勧めしてくれたので、場所もばっちり覚えています。

オリ:では、明日案内してください。ゴンドラで。彼女と一緒に。

ミト:もちろんです。

オリ:本を読むなんて、あんまりしてこなかったものですから、列車が通り過ぎるまでに読み終えることができるかは、自信ありませんけど。

ミト:別にいつ読み終わったっていいんですよ。読み終わらなくたって、それはそれで。

オリ:そんなものでしょうか。

ミト:多分。

(オリ、大きなあくびをする)

オリ:店主さん。

ミト:なんでしょう。

オリ:コーヒーをこの水筒に入れて持ち帰ることはできますか。

ミト:はい。なんなら、私の水筒もおつけしますよ。

オリ:それは助かる。ぜひお願いします。

ミト:かしこまりました。

オリ:もうひとつ、聞いてもいいですか。

ミト:もちろん。

オリ:あの、カウンターの隅にあるマイクは?

ミト:ラジオを、やっています。

オリ:ラジオ?

ミト:機械には疎いので、一体どれほどの人が聞けているのかは分かりませんけど。なにせ、この星の夜は……私の夜は長いので。

オリ:周波数を聞いても?

ミト:ええと、確か、52ヘルツ、だったかな。

オリ:確か、って。

ミト:すみません。そもそも私は、コーヒー屋なので。

オリ:……今夜もやりますか?

ミト:その予定です。

オリ:聞きますね。

ミト:ありがとうございます。でも、ラジオで話す予定のことは、今ほとんど話してしまいましたよ。

オリ:大丈夫です。私は物覚えが悪いので。

ミト:そうですか。では、ぜひ。

(オリ、立ち上がってマフラーを巻く)

オリ:コーヒー、ご馳走様でした。では、また。

ミト:ありがとうございました。また、どうぞ。

(しばしの後、バイクの音が聞こえてくる)
(ミト、小さくあくびをする)

【幕】

※この後一人読み台本「星間ラジオ」を続けてお読みいただいても構いません。


「星間ラジオ」
https://writening.net/page?mzZU7b
お知らせ
実務でも趣味でも役に立つ多機能Webツールサイト【無限ツールズ】で、日常をちょっと便利にしちゃいましょう!
▶無限ツールズ

 
writening