【特集】大人気サーカスの裏側に迫る【岡崎泰葉】+α


【特集】大人気サーカスの裏側に迫る

キャスター「俺達の少女Aをお聴きの皆様こんにちは。午後1時53分、お昼のニュースの時間です。本日のニュース特集は、あの大盛況のうちに幕を閉じたアイドルサーカス、その舞台裏に迫ります」

ナレーション「3月初旬、都内某所にて、同プロダクション所属の『赤城みりあ』『和久井留美』『真鍋いつき』『クラリス』『岡崎泰葉』の5人のアイドルがプロ顔負けのパフォーマンスを披露したことで話題となった『アイドルプロデュース~きらめきサーカス~』。今日はそのアイドルたちの汗と涙の舞台裏について、スタジオに関係者の方をお招きして、お話を伺いたいと思います」

キャスター「というわけで、本日は猛獣使いのパフォーマンスを披露した岡崎泰葉さん…とともに華麗なダンスを披露した象のスリールさんにスタジオにお越しいただきました。よろしくお願いします」

スリール「ぱおーん」

キャスター「また、同時通訳として岡崎泰葉学者でありながら、象の言語学にも精通している岡崎大学泰葉学部准教授の日森先生にもお越し頂いております。よろしくお願いします」

日森「よろしくお願いします」

キャスター「さてスリールさん、今回の公演では初めて会うアイドルとのパフォーマンスという点でいろいろ大変な部分があったと思うのですがいかがでしたか?」

スリール(日森)「とてもいい経験になりました。私と一緒にパフォーマンスしてくれた岡崎泰葉ちゃん、初めは動物相手に怯えているようで本当に大丈夫かな?なんて思っていたのですが、他のアイドルやプロデューサーさんにアドバイスをもらいながらなんとかコミュニケーションを計る姿勢を見ていたら、こちらも協力してあげたいなという気持ちになりました」

キャスター「なるほど。稽古の中でお互いに歩み寄って気持ちを通じ合わせていったんですね。そしてその成果があのステージでのダンスというわけですね」

スリール(日森)「はい。泰葉ちゃんは途中参加で短い練習期間でありながら、『動物達の力強さをダンスや表情に取り入れていきたい』とすごいこだわりを見せてくれたんですよ。これはプロのサーカス員として負けていられないぞ!と私の練習にも熱が入っていって、本番のステージではかなりベストなパフォーマンスを披露できたと思います」

キャスター「ステージの映像からもお二人の熱意と迫力はばっちり伝わってきました。次に、舞台裏で特に印象に残っている出来事などはありますか?」

スリール(日森)「そうですね。閉演後に事務所や学校の友人達からたくさん感想のメッセージをもらった泰葉ちゃんがそのことを本当に嬉しそうに私に話してくれたことですかね。泰葉ちゃんが子役だった頃から応援していた一ファンのエレファントとしては、年相応に喜びはしゃぐ泰葉ちゃんを見ていて思わず目頭が熱くなりました……」

キャスター「感動的なエピソードですね。象のスリールさん、ありがとうございました。CMの後は、岡崎泰葉さんの学校の友人の発見による生態系の大きな転換について日森先生に詳しくお話を聞いていきます。」

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皆さんは、シンデレラストーリーを辿れない女の子の名前を知っていますか?
その女の子の名前は、岡崎泰葉と言います。

シンデレラといえば、日常生活を繰り返していた「普通の女の子」が魔法によって非日常に足を踏み入れ、大きな幸福を手にするというストーリーを思い浮かべる人が多いと思います。シンデレラガールズにおいては、日常生活に埋もれていた「普通の女の子」に魔法がかかり、輝くステージへと向かう、というメインストーリーを辿るアイドルが多いです。そしてその魔法をかけるのが、私たちプロデューサー。すなわちプロデューサーは「普通の女の子に魔法をかけ、輝くステージへ向かわせる」ことが役目です。ですから、シンデレラたちは良くも悪くも「普通の女の子」を脱しなければ、シンデレラにはなれません。

けれど、岡崎泰葉というアイドルはその「普通の女の子」という言葉を何度も口にしています。

「プロデューサー、アイドルにならなかったら私は普通の女の子だったのかな…? 普通の幸せって、なんだろうって…」

「普通の女の子」になりたかった、とも解釈できるセリフですよね。彼女は、「普通の女の子」ではなかった。プロデューサーに連れていってもらうはずの「輝くステージ」に、既に立ってしまっていた。
それ以降も彼女は幾度と無く「普通の女の子」への憧れを口にしました。そしてプロデューサーは実際に、彼女を普通の女の子へ近づけようとします。バレンタインにチョコを作り、運動会をさせ、プラネタリウムへ連れていく。(原作のストーリーで考えれば、)魔法使い失格です。

しかし、岡崎泰葉はアイドルをやめたくて普通の女の子への憧れを口にするのではありません。彼女が彼女らしくアイドルになる、つまりシンデレラになるためには「普通の女の子」という要素が必要だったんです!
「普通の女の子」「魔法」「輝くステージ」。この3つのキーワードの中で岡崎泰葉に足りなかった「普通の女の子」を補完する魔法使いが、プロデューサーだったのです。

岡崎泰葉はきっと、芸能界を去っただけでは「普通の女の子」にはなれなかったでしょう。周りの目は勿論、彼女自身が「普通の女の子」を全く知らないのですから。けれどアイドルになったことで、彼女には友人ができ、日常を知りました。これが彼女の求めていた「普通の幸せ」ではないでしょうか。

私は彼女を「シンデレラストーリーを辿れない」と言いましたが、それはシンデレラになれないという意味ではなく、彼女が「シンデレラストーリーを取り戻す」アイドルである、ということです。皆さんも、彼女の載ったシンデレラの絵本を反対側から開いてみませんか?
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