ひな人形は何を運ぶ


「というわけで後輩くん、分かったかい?ひな祭りというのは元来、まじないの類なんだ。娘の病やら穢れやらを人形に乗せて川に流すという、お清めの儀式。本来ひな祭りとはそんな、娘の健康を祈る厳正な神事なんだよ」

 三月三日。期末テストも終わり半日授業となっている今日の昼下がりに文芸部で何となくぼーっと過ごしていた俺・一ノ瀬奏太に、神木先輩がホワイトボードを駆使してひな祭りのなんたるかを説明していた。

 神木世奈先輩。ほとんどが幽霊部の文芸部において二人しかいない、まともに部活に来ている部員の一人だ。ちなみにもう一人は俺だ。

 俺の一つ上の先輩でありながら軽いドジっ娘属性や調子乗りグセにだいぶ小柄な体、「後輩くん」なんていうふざけた呼称などによりその威厳はゼロに近い。近いのだが、まあ俺にとって唯一の先輩だ。一応尊敬というか、まあ、ちょっとした好意くらいは抱いている。

 いや別に、好意とは言っても先輩として好きってことだからな?調子乗った時の先輩のドヤ顔かわいいとか、俺を呼ぶ「後輩くん」の特別感が好きとか、そんなこと少しも思ってな……やめよう、語るに落ちてる感じがする。

 そんな先輩だが、よく思いつきで行動する。夏休みはよく急に呼び出されたりしてたし、正月も一月一日になってからLINEが来て初詣に連れ出された。今回も友達と話すかネットで見かけるかして思いついた行動だろうからすぐに終わるだろうと思ってたのだが……。

「あの、先輩」
「何?ボクはまだこれから君に、ひな祭りという行事の意義をたっぷりと教えなければならないんだけど」
「嫌ですよ。というか先輩、すでに先輩がひな祭りの説明を始めてから一時間くらい経ってるんですけど。結局何が言いたいんですか?」

 思ったよりも先輩の講義が長かった。もう一時間が経ってまだこれからも話すことがあるといったような口ぶりに、知識をかき集めるタイプではない先輩にしては随分と詳しい内容の話。どうにも先輩らしくない気がする。そう思って俺が聞くと、先輩はビクッと反応した。

「え?いや、まあ、その、なんだ、うん。えーっとね、ボクが言いたいのは、つまりね」

 そして俺に目を合わせず言い澱む先輩。先輩は何かやらかした時以外は基本ガンガン言ってくるタイプだし、何かやらかしたんだろう。ひな祭り関連でやらかすというと想像つかないが、今の言い方からするにイベントを楽しもうとしてた人たちに冷や水を浴びせちゃった感じだろうか。

 そんなことを考えながら少し待っていると、先輩は言った。

「あ、そうだ。ボクが言いたかったのはね、最近の連中はひな祭りをただのイベントと勘違いしてないか?ってことさ。街を出歩けば飲食店はチラホラひな祭りフェアなんかやってるし、加えて今日なんか教室で何度も今日ひな祭りだからお菓子作ったんだ、食べに来ない?だのひな祭りのケーキ買ったんだよ、今日家で二人で食べない?だの、男女のデートやら何やらのダシにされてる会話をいくつも聞いたんだ。言語道断じゃないか?神事をそんな低俗なことのダシにするなんてさ!」

 あ、やっぱりそんな感じか。だいぶ長い台詞だったし、けっこう鬱憤でも溜まってたんだろうか。先輩だってひな祭り以上の神事であるところの初詣をただ俺を呼び出して振り回すイベントにしてたくせに。

「なるほど、先輩はひな祭りは厳正でないといけない派でしたか。女の子のお祭りということで一応女の子であるところの先輩には今日の帰りに何かケーキでもと思ってたんですが、余計なお世話だったようですね」
「あ、ウソウソ!ひな祭りをダシにするの最高!異性交遊、大いに結構じゃないか!もう学生の本分と言っても過言ではないね。だから後輩くん、今日は存分に奢ってくれて構わないよ?ボクはそういう古めかしいことなんか気にしないからね。今日は喫茶店とかでじゃんじゃんボクに貢いでくれて構わないよ」

 俺がからかうつもりで言うと、先輩は慌ててそう言ってきた。なんとも都合のいいというか、手首の返りが速い先輩だ。ケーキに関しては予定してなかった出費だが、今の反応と放課後デートの確保を考えれば数千円くらいまでは大目に見よう。

「というか、一応なんてひどい言い方じゃないか。ボクはれっきとした女の子だぞ。これでもボクはモテるんだからな」
「小学生とかにですか?」
「同級生にだよ!誰がチビだ!」

 俺の言葉に机をバンと叩いて言う先輩。いつものことながらムキになってる辺り、やっぱり身長のこと気にしてるんだろうか。

「小さいのも可愛くていいと思うんですけどね」
「フン!どうせ君だって巨乳がいたらすぐに鼻の下を伸ばすんだろう?ボクは知ってるんだ!」
「伸ばしませんよ。どんなイメージですか。それより俺が言ったのは身長のことだったんですけど、その慎ましいお胸もコンプレックスなんですか?」
「はあ!?ちが……くっ、もういいよ。そうだよ。ボクは体格に関しては全部コンプレックスを持ってるね。身長、胸、お腹、脚!全ての美形が妬ましい!」
「そ、そこまでですか。先輩はどちらかと言えば妬まれる側だと思うんですけど。自分でさっきモテるとか言ってませんでした?」

 俺が言うと、先輩はなぜかそこで苦い顔をした。

「そう、そうなんだよ。なぜかボクはたまに告白されるくらいにはモテるんだ。あの人たちが何を思ってボクなんかに告白してくるのかイマイチ分からないんだけど、どうやらボクの容姿は標準以上はあるみたいなんだ」

 唐突な自慢。なんでそんな表情で自慢が始まるんだ。そんなことを言おうとすると、先輩は憂鬱そうに続けた。

「……すると、ボクの好きな人がボクのことを見てくれないのはボクの中身が悪いってことになってしまう。ああ、なんでボクは見目がそれなりにいいのだろうね。悪ければ全部そのせいにできるのにさ」

 そして大きくため息をつきながら、先輩はそんなことを言った。

「先輩、好きな人いたんですか」
「そりゃいるさ。ボクだって一応は華の女子高生だ。恋の一つや二つくらいする。……ま、その恋はあんまり芳しくないんだけどね」

 手元のペンをくるくる回しながらそう言う先輩。マジか、先輩って好きな人いたのか。割と高頻度で部室にいたからてっきりそういうのには興味ないとかだと思ってた。

 しかし、うん、先輩に好きな人か。なんというか、あれだ。思ったよりショックだ。

 何となくくらいだと思ってたが、俺って思ったよりしっかりと先輩のこと好きだったのだろうか。思えば、心当たりはいくつかある。今までの一年間の中であれ?と思ったことは、無視してきただけでいくつかあった。なるほど、何かと思ってたけどそれは先輩への好きっていう感情だったわけか。それでその先輩には、好きな人がいると。なるほど。

 え、どうしよう。なんか急に苦しくなってきた。何か俺が先輩と付き合うために今から出来ることってあるか?

 何かないか……ないな。あったとしても一年使って自分の気持ちに気付くのがやっとな奴にできたものじゃないな。ああでも、何かしなきゃ。思ってた以上に俺、先輩のことが好きなみたいだ。なんかおかしいくらいに頭の中が混乱してる。

「まあまあ、まだ振られたとかじゃ全然ないんですよね?それなら大丈夫ですよ。先輩がアタックすればだいたいの人は行けますって」

 そんな頭の中とは裏腹に、俺はそう言った。いやお前、そこは止めるところだろ。諦めさせるとかなんとかして。
 
 そう思う俺に、先輩はもう一度ため息をついた。

「ボクは悲しいよ。一年間一緒にやってきた後輩くんにボクの現状が伝わらないなんて」
「そりゃ、俺は先輩の相手知りませんし。同級生ですか?」

 俺がそう言うも、先輩の口から出るのはため息。しかしどうすればいいんだろう。そもそも俺はどうなりたいんだろう。

「というかそもそも、ボクが言いたかったのはさっきのリア充たちへの難癖みたいなのじゃなくてね」

 そうしていると、先輩は言った。

「ボクはほら、自分の感情を表現するのが苦手だろ?」
「俺の知る中で一番自由に生きて感情を顔に出してるのは先輩ですけどね」
「うるさいよ。言っておくけど、君はボクの感情をちゃんと読み取れてないからね」

 そう言いながら、先輩はカバンの中をごそごそと探して簡単な作りの、それこそ先輩がさっきまで話していた昔のひな祭りの風習に使われそうな人形を取り出した。

「えっと、ね。ほら、さっき言った通りひな人形って本来病気とかそういう嫌なものを押し付けて流すものらしいんだ。だからそれを使って、ここら辺でこの想いにも一回けじめというか、区切りをつけておこうと思うんだよ」

 そしてそう言って先輩は人形をゴミ箱に向かって投げ入れようとした。なんだかその姿がひどく寂しく見えた俺は、なぜか自分でも気づかないうちにすっと動いていた。

「待ってください」

 そんな先輩の腕を掴み、俺は言った。もういい、恋愛関連のことなんて考えるだけ不毛だ。とにかく思うがままにしよう。

「ちょっと、何するのさ。これはボクなりの踏ん切りの付け方で」
「先輩、好きです」
「なっ!?」

 驚いたように目を見開く先輩に構わず、俺は続けた。

「俺は先輩が好きです。先輩の笑顔だとか明るさ、活発さが好きです。一緒にいて楽しくいられる先輩が好きです。先輩の、全部が好きです。調子乗ってやらかしちゃうところも、バカにしたような口調でからかってくるところも、変なところで臆病なところも、全て含めて先輩が大好きです」

 はっ、やばいな俺。思った以上にどころか、マジのベタ惚れじゃん。よくもまあ今まで気づかずにいたもんだ。

「え、や、えっと、あの、こ、後輩くん?」
「すみません先輩、急に告白なんてしちゃって。でも先輩には分かっててほしくて。それとまあ、先輩の自身の足しに少しでもなればなと。ほら、告白されるってのは誰にであれ自信になるでしょ?俺が言いたいのはですね、先輩は全部魅力的なんですから、悲観的になんてならずに好きな人にアタックしてほしいってことです。だから先輩、ひな人形に想いを乗せて捨てるなんてしないでください」

 俺はそこまで言って、ふーっと大きく息を吐いた。言いたいことはこれで全部だろう。あ、「付き合ってください」って言うの忘れたな。まあ先輩には好きな人がいるんだし、言う意味もないな。そう言う意味じゃこれで全部だ。

 あーあ、これで文芸部に来づらくなっちゃうな。まあ元から帰宅部の隠れ蓑にするつもりで入った部活だ。先輩と会って話すのが予想外に楽しかったから来てただけだし、それもいいだろう。ははっ、ここでも先輩か。やっぱり俺、先輩好きだったんだな。自分のことなのに俺、鈍すぎだろ。

「じゃあ、俺は今日はここで。すみません、ケーキを奢るのはまた後日ってことで」

 俺はそんな自嘲気味なことを考えながらそう言った。流石に振られた後に一緒にケーキを食べに行くのは俺には無理だ。先輩には悪いけど、帰らせてもらおう。

 そうして席を立って部室を後にしようとすると、先輩が慌てた様子で俺の制服の袖を掴んできた。

「ちょ、ちょっと待ってくれ!なんで君は、こ、告白して、返事を聞かないで帰ろうとするんだ。い、言うだけ言って逃げるなんて、ボクは許さないからな!」

 鬼かな?俺は振られると分かってて好きな人の前に立ち続けられるほどのメンタルは持ち合わせてないんだが……。

 そう思いながら振り向くと、そこには赤い顔でプルプル震えながら俺を見上げている先輩がいた。

「え?」
「え?じゃないよ!全く、こっちが急なことにビックリしてるうちに告白の返事も聞かずにトンズラしようとするとか、何を思ったらそうなるんだ」

 先輩はそう言って、椅子を指差した。

「座って」
「えっと俺、ちょっと状況がイマイチ」
「座って」
「はい」

 有無を言わせず俺を元の椅子に座らせた先輩は、そのまま向かい合って俺の膝の上に乗ってきた。

「ちょっと!?」
「少し黙ってて……ねえ後輩くん、さっきの君の告白は本当?」
「えっと、さっきの告白ですか?まあ、全部本当のことですけど」

 先輩は俺の返事を聞くと「そっか」と頷き、さっき捨てようとしていた人形を俺に渡して言ってきた。

「ボクは、ボクのこのすぐに調子に乗るところとか対人関係の最後の一線のところで臆病なところとか他人の身体にコンプレックスを抱いちゃうところとかが実は嫌いで。だから、ひな祭りの由来について聞いたとき、そういうのを全部人形に乗せて捨てようと思ったんだ。後輩くんは何か勘違いしてたみたいだけどね」

 どこか下を向くようにしてそう言う先輩。そんな先輩は、「でも」と顔を上げ、俺の目をまっすぐに見てきた。

「君がボクの全部を、この面倒でうざいままのボクを肯定してくれるなら、このボクをありのまま好きだって言ってくれるなら、ボクも自分を好きになれる気がする。……そういうふうに思わせてくれた一ノ瀬くん。ボクは、あなたのことが好きです。ボクのあまりよくない部分も詰まってるこの人形ごと、ボクのことを受け取ってくれますか?」

 そう言って何かを求めるような目で見てくる先輩。それが何なのかなんとなく伝わってきた俺は、軽く息を吐いて膝の上の先輩を抱きしめた。

「はい」





「ふぅ。とりあえず一件落着ってところかな?いやあ、後輩くんがボクのことをあんなに好きだったなてね。照れるねえ」
「うるさいですよ先輩。というか、何が芳しくない恋ですか。俺はてっきり高嶺の花的なイケメンにでも恋してるのかと思ったんですけど。あと後輩くんはやめてください。名前で呼び会おうって言ったのは先輩じゃないですか」

 あれから十五分後。何か気恥ずかしくなった俺と先輩はとりあえず学校を出て近くのケーキ屋とコンビニに寄り、公園の机付きのベンチに二人で並んで腰掛けていた。

「うぐっ。そういう後輩くんだって先輩呼びじゃないか。それより芳しくないって言った件だけど、ボクは本気で君はボクのことを意識してくれてないって思ってたんだ。実際のところ、後輩くんはボクがハロウィンやら初詣やらで呼び出してたのを何だと思ってたんだい?」
「振り回せる知り合いで一番都合が良かったのを呼んだのかと」
「ほら、やっぱり。どうせそんなところだろうと思ってたよ。なんせ目がそんな感じだったからね。君のことは全てお見通しさ。全く、ボクがどんな思いで君をわざわざ二人っきりで誘ってたのかを察せないなんてね。君はとんだ朴念仁だよ」

 先輩はため息をつきながらやれやれとでも言いたげにニヤニヤしながら肩をすくめた。くっ、実際二人で初詣に誘われたことになんの疑問も抱かなかったのは俺だし何も言えない。

「まあでも?後輩くんはどうやらボクにベタ惚れだったみたいだし?勘違いしないように自戒してたんなら、仕方ないよね」

 うざい。うざいぞこの先輩。やっぱり少しはそういうところ否定するんだったかな。

「まあホント、さっきはありがとう。少し救われた気すらするよ」
「……そうですか、それならよかったです」
「ふふ、照れちゃって。ボクは君のそういうところも好きだよ、奏太くん」
「!!」

 先輩の声に、先輩のいる方向から若干顔を背けていた俺は思わず先輩の方を向いた。あーあ、また大きなリアクション取ってしまった。からかわれるんだろうなあ。そう思いながら先輩を見ると、先輩のニヤニヤ顔はどこかキョドっており、顔も赤かった。なるほど。

「あれ、もしかして照れさせようとして自分が照れちゃったんですか?やっぱり可愛い人ですね、世奈さん」
「は、はあ!?べ、別に照れてないし!というか急に名前呼びしてくるなよ!なんかこう、幸せが体の中を上ってくるのを隠せないじゃないか!」

 俺がそう言うと、先輩は赤くなっている顔を両手で隠してそう言った。可愛すぎる。勇気出してよかった。

「まあいいです。それで先輩、結局あの人形はどうするんですか?先輩が嫌なところを自分でも認めて行くなら返したほうがいいですか?」

 そんなことを思いながら聞くと、先輩は顔から手を少し退けて何やら寂しげに言ってきた。

「……もう、名前呼びは終わりかい?」

 ぐはっ。

「呼びます、呼びますよ世奈さん」
「ふふ、そうか。うん、その響きはとても幸せだ。それで人形だけど、できれば君が持っててくれないかな」

 俺が先輩の可愛さにやられていると、先輩が言ってきた。

「一応理由を聞いてもいいですか?」
「うん。さっきボクはボクの嫌なところも好きになっていくって言ったけど、流石にまだ無理だし。それに君は全肯定してくれたけど、それじゃいけないことも分かってる。だから、少しずつ成長して、自分で納得してその人形を迎えに来れるようになるまで君に預かっていてほしいんだ。君だって、100点の彼女より120点の彼女の方が嬉しいだろう?」

 なるほど。先輩……んんっ、世奈さんも色々と考えているらしい。まあそういうことならと頷こうとすると、世奈さんは少し照れた様子で付け加えた。

「それにさ。どんな部分だとしてもボクの一部を君に持っていてもらうって、なんだか、その、絆っぽくていいなというか……い、言っておくけどヤンデレとかメンヘラとかじゃないからな!嫌いにとかなるんじゃないぞ!」

 あー、ダメだ。可愛すぎる。ダメでしょこれは。

「嫌いになんてなりませんよ。大好きです、先輩」
「なっ!?も、もう!君、そんなことを急に言うんじゃないよ!びっくりするじゃないか」

 素直に思ったことを口に出しただけなのに。

「……あと、今思ったんだけど、やっぱり呼び名は元の『先輩』と『後輩くん』にしないか?その方が自然に出てきた言葉になる気がするんだ。今の君のだって、ボクのことを先輩呼びだったしね」
「あ、確かにそうでしたね。名前呼びは何か特別なときにでも改めてしましょうか」
「うん、そうしよう」

 話がひと段落ついた俺と先輩は、適当に雑談しながら買ったケーキを食べた。

 そして夕日もそろそろ落ちようかという時間になって、俺たちはベンチから立ち上がった。

「じゃ、そろそろ帰るか後輩くん」
「そうですね。あまり遅くなっても先輩が危ないですし。というかそうですね、家まで送りましょうか?確か先輩の最寄駅って俺の定期券内だったと思うので」
「ふふ、さすがにそれはいいよ。でも何か不審者が出たとかそういう話が出た時は、お願いしようかな」
「はい、そうしてください」

 俺たちがそんなことを話しながら歩いていると、先輩は公園の出口のところで止まった。

「それじゃ、後輩くん」
「何ですか?」

 何かと思って先輩の方を向くと、先輩はとびっきりの笑顔で俺を見ていた。

「改めて、これからよろしくね!」
「……!はい、こちらこそよろしくお願いします」

 その笑顔に一瞬だけ見惚れた俺は、同じく笑顔でそう返した。
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